第55話:無人飛行偵察機
「でさー。聞いてよオワル。私がちょっとウィンクしただけでネットのバカどもが投げ銭してくれるの。本当に馬鹿だと思わない? そりゃ億超える報酬は貰ってるけどさー。投げ銭だけでも数千万円だよ?」
相も変わらず世界中の男たちを金づるとしか見ていない星崎キラーンこと堕星少女スタッブスター。愛嬌を振りまくその可愛さは尊敬に値するが、裏の顔を知っている俺としてはこういうコイツも決して悪くない。本音で語ってくれる女の子って悪辣でも可愛く映るよな。
「よくもまぁそこまで開き直れるな」
「だって大金手に入れて、しかも性欲丸出しの猿どもにチヤホヤされてるんだよ? そりゃエゴサだって幸福ってもんじゃん?」
エゴサしてるのか。確かにしてそうだな。コイツの性格を考えると。
「でもキラって煽り耐性低そうだし」
「あー。そんなこと言う? ちゃんと我慢できてるもん。そりゃ貶されるとムカつくけどさー。っていうかああいう悪意って何なの? なんでネットに潜ると人間ってあんなに幼児退行するの?」
「さてなー。どっかの大学がそれについて研究していたような……」
とか、思っていると、俺のスマホに緊急コールがかかる。ただし文面。WARPドライバを使った秘匿回線ってことは……ツインクイーンからか?
「米国の無人飛行偵察機が独富島に向けて高速で近づいています」
とのこと。ハーレクイーンからの警告だった。そうして俺がそれを受け取った後、無雲帝国全体に、緊急連絡が行われる。米国の無人飛行偵察機が独富島目掛けて接近中。国民は留意するように、と。
「無人飛行偵察機ねー」
キラは他人事のようにそう呟いた。メターマンが相手でなければ、国際魔法少女基金も動くわけにはいかない……となると。
「私が行ってくるよ」
「やめておけ。無報酬でバーゴストライクが動くと足元見られるぞ」
「でも戦闘機が近づいてきてるんでしょ?」
「こういう時のためのメターマンだろ」
独富島に数万体いる人間ではない怪異生物。空戦に対応している個体も一万を超えるレベルで存在している。
「あと地球秩序維持思想団体オーダーメイドもいるしな」
「あー。須久留ちゃん。スクール水着仮面二号がいれば安全か。一号は動くかな?」
さてどうでしょう。俺がここにいるとスクール水着仮面一号が動けんのだが。
「というわけで帰れ」
「あー、そういうこと言っちゃうんだ。ヤらせてあげようと思ったのに」
「今はそういう場合じゃないだろ。家族が心配じゃないのか?」
「確かに!」
そんなわけでキラは帰っていった。キラとセクロスできなかったのは残念だが、俺には俺でやることがある。
「じゃ、いくかぁ」
頭をガシガシと掻いて、キーワードを唱える。
「ビキニに会うてはビキニを着る。スク水に会うてはスク水を着る。仮面の理ここにあり」
そうして俺の身体が女体化して、ついでにシュクールミジュギが装着される。正式な名称はシュルレアル・クール・ミラージュ・ギア。略称がシュクールミジュギだ。なんでスクール水着なのかは、そりゃもう俺の完全趣味。ある意味で武装ではあるし、そうなら魔法少女との差別化を考えると真っ先に思いついたのがスクール水着だったのだ。そうしてWARPドライバを適応させて独富島の上空に。情報についてはWARPドライバの応用でテレパシーじみたことをしてツインクイーンと連絡を取っている。
「遅かったわね。一号」
同じく空中に浮いている二号がジト目で俺を見てきた。
「まぁそう言うなよ」
既に空中にいる飛行型のメターマンもこっちに近づいてきている戦闘機を警戒している。
「マッハ二・五でこっちに向かってきているらしいわね」
「止められるか?」
俺が聞くと、ミズキは肩をすくめた。
「可能か不可能かなら可能でしょうけど……真正面からぶつかりたくはないわね」
「そこはまぁメターマンと協力して……」
「地球秩序維持思想団体オーダーメイドとしてはメターマンも粛清対象なんだけど。それは一号も知っているでしょ?」
「暴れていないメターマンは生存権を確保すると言ってなかったか?」
「聞いてるけどさ。私の両親を殺したメターマンを私が許せるかは別問題」
そうなるか。
「っていうか米国も懲りないわね。空母だと勝ち目がないから無人戦闘機?」
呆れたようにミズキはそう言う。
「まぁ向こうさんにも都合はあるんだろうよ」
決して軽んじていい相手ではない。無人戦闘機はほぼ高性能に纏められているし、最先端科学の結晶とも言える。しかも人が搭乗していないので、ある意味でマニューバに無茶が利く。人間が乗っていたら死んでしまうマニューバも、無人戦闘機なら可能なのだ。とか思っていると。
「ミサイルが飛んでくるな」
こっちはメアリーシステムの恩恵によるものだ。超音速で放たれたミサイル。それが真っ直ぐこっちに向かってくる。ロボットアニメとかだとビーム兵器に比べて冷遇されがち。なんか撃つのはいいけど撃ち落される運命にあるミサイルだが、現実世界では侮ってはいけない。超音速で飛行し、爆発することであらゆるものを破壊する……破壊神の手足とも呼べる威力と有効性だ。最先端科学の結晶体でもあり値段に関しても相応。そもそもロボットアニメがミサイルを冷遇しがちだと俺はアニメ会社に訴えたい。狙われたのはエンドレース株式会社の本社ビル。まぁ一応防御障壁は張っているが……ここは俺が出張るか。スクール水着仮面一号として、ミサイルの軌道と本社ビルとの接触タイミングを計って空間転移。メターマンをすり抜けて本社ビルにぶつかろうとしたミサイルを俺のリープリッパーがみじん切りに切り裂く。爆発が起こり、帝国民が驚いているが、まぁそれも一時的なモノ。俺たちがいる限り米国の横暴を見過ごす真似はしない。
「GHISYAAA!」
「GHAAAAAA!」
で、その問題の戦闘機は恐ろしいほどのマニューバで飛行型メターマンの警戒を掻い潜っていた。ここまでくると空恐ろしいほどだが、実際にメターマンの中にも音速で飛行する個体はいるし、その連中を回避して制空権を侵犯しているとなれば、無人戦闘機のクオリティの高さに敬意を表するしかあるまい。ただこっちにも異常と言える異常は存在するわけで。
「リープリッパー」
空間転移で超音速の戦闘機を捕捉。そのまま魔法でぶった切る。斬り裂かれた戦闘機が、そのまま空気の壁にぶつかって空中分解。火がともった燃料によって爆発四散した。一応制空権を侵犯してきた戦闘機は一機だけだったので、これで今日は終わりなのだが。
「にしては……なんか舐められているような……」
そもそも数万体のメターマンが防衛している無雲帝国に戦闘機一機でどうにかしようという思想そのモノに呆れる。米国がどういう見解をするのか。それがちょっと興味深い。
「一号。これからどうする?」
「一応問題も解決したし、今日はこれまででいいんじゃないのか?」
「じゃあ私は上がるぞ」
「俺もそうするか」
そうして家まで転移して。
「ドレスティック・インバータ」
スクール水着を量子化して、そのまま全ラに。女の子の身体なので、このままではなんだかなぁ。そうして元の服装に戻るまで女の子の身体を堪能し。元に戻ると、シャワーを浴びるようにする。
「せんぱーい! いるっすかー?」
シャワーを浴びてさっぱりすると、心配したのか。香鳴さん家が俺の家に来た。
南無。




