第54話:オワルとマスラオと
魚料理店。そこで俺は取れたての魚を心行くまで食べていた。いやー。魚美味いわ。日本の文化だわ。
「いくらでも食っていいからな。臨時収入も入ったし」
五億円な。それならヒモになってもいいだろう。カンパチ。シマアジ。メジナ。イサキ。
「ご馳走になります」
ウマウマと魚を食いながら幸せも噛みしめる俺だった。
「にしても税金納めなくていいってのが大きいよなー。ここだと金稼ぎ放題だぜ」
「ま、魔法少女だしな」
「オワルは推してくれるか?」
「もちろん。ダーンディアナちゃん萌え」
「にひひー。実際にしたしな」
いや、そりゃ罠娘少女ダーンディアナちゃんがいたらやるだろ。
「M字のポーズは使うのか?」
「是非に」
「あーあ。俺も女の子に生まれていればな……」
「可愛いんだからいいだろ別に」
「オワルの子供を産みたい」
「俺がこの年でか?」
「別に年は関係なくね?」
まぁ実際に関係ないと言えばその通りではあるのだが。というか俺にしてみればキラやキワミ、壱岐尾先生とも関係を持っているわけで。無雲帝国の皇帝として一夫多妻を認めるべきか。無城皇帝だよなー。城の代わりに民家に住んでるし。
「ま、そういうわけでこれからもよろしくな」
「あ、ダーンディアナちゃんは萌え萌えだ」
「アイツらともするのか?」
「求められたらそれはな」
「オワルってパイオツスキーだよな」
「しょうがないだろ。マスラオも男ならわかるだろ?」
「……まぁ……なぁ」
特に壱岐尾先生はヤバイ。あんな色気ムンムンで襲われたら正常な男子高校生が冷静に判断するのは無理だって。
「オワルのスケベ」
「何とでも言え」
ああ、魚が美味い。多分今時点の注文だけでも一万円を超えているだろう。無雲帝国でははした金だが、それもこの国の繁栄があってのこと。東京諸島の一部だったので、美味い魚は幾らでも採れるのだ。
「俺の親父に感謝しろよ?」
「ああ、ありがとうございますって言っておいてくれ」
とか言いつつ島寿司を頼んでいる俺。八丈島の名物だが、ご近所さんなので、こっちでも味わえる。店によってもこだわりは違うらしい。
「ホント、いい男になったよな。お前」
「自覚はないがなー」
無雲帝国の皇帝で、エンドレース株式会社の社長で、レコンキスタドーンの首魁で、地球秩序維持思想団体オーダーメイドのスクール水着仮面一号で。まぁ金を稼いでいるのは確かではあるのだが。
「カッコよくなった」
「バーゴストライクの全ラ写真を撮って脅している男だぞ」
「意外とキラとかもMなんだよなー」
ちょっとわかる。恥ずかしい写真や動画で脅されて、とか言ってるが、それを免罪符にして俺に好きにされたい願望が見え隠れしている。
「それでもおっぱいがあるだけ羨ましい」
ダーンディアナちゃんは無乳だしな。元男、というのも関係しているのだろうか。まぁ言うて魔法少女のステッキだるブローギアを開発したのは俺だが。俺のWARPドライバ無しにアレだけの超常エネルギーを生産するのは無理筋だ。
「国全体が好景気だろ?」
「まぁそりゃな。合成燃料を各国に格安で輸出しているんだ。特に化石燃料が限界を迎えている昨今、無雲帝国の技術は世界にとって救いであり、同時に奪うべきものでもある」
「そもそも核融合炉なんてどうやって……」
色々あるんだよ。俺が独富島を日本から独立させたのもそのためだ。あの鉱物を世界に公表するのは、まだ控えた方がいいだろう。
「ま、俺は魔法少女として親を楽させてやれば、それでいいんだがな」
「っていうか約二兆円稼いだんだろ? 働かなくてよくね?」
魔法少女を止められるとこっちとしても困るんだが。
「親父にはそう言ったがな。金のために海に出ているんじゃねえ! ……だそうだ」
生粋の漁師って事だろう。海と戦うため生まれてきた漢というか。
「いい親父さんだな」
「ああ、自慢の親父だ」
そうして魚の塩釜も頼んで、プリプリの旨味のある魚を楽しんでいる。
「オワルの両親はどうしてるんだ?」
「社畜で欧州に海外出張中。前にも言ったろ」
「金に困ったら俺に言えよ」
「その時は頼む」
「星崎より、二江より、壱岐尾先生より、だぞ?」
「それはそれで難しいというか……」
「オワルの金回りは俺がフォローしたいの!」
「俺としてはバーゴストライカーズのカードにサインしてもらうだけでも嬉しいんだが」
「それくらいは幾らでもするけど。転売するなよ?」
するわけないだろ。家宝として大切にさせていただきます。
「ついでにクサヤも頼むか?」
ソレは勘弁してください。
「美味いぞ?」
「知ってるけどさー」
食ったことはある。だがあの強烈な臭いは、幼いころの独富島に住んでいた俺のトラウマだ。
「あれから東京に行っていたもんな。オワル」
で、色々あって、今は無雲帝国の皇帝か。
「っていうかさ。バーゴストライクが全員無雲帝国の所属で、メターマンが独富島の戦力ってことは、これって盛大なマッチポンプじゃないか?」
否定はしない。結論としててそう映ることも。
「そもそも無雲帝国に反抗的なことをしなければバーゴストライクも働かなくていいんだよなー」
塩釜の魚をモグモグ食べながら、俺はそう言う。
「それでさ。オワル」
恋する天使アンジェラァキみたいな……というと風評被害だが、恋する瞳で俺を見るマスラオ。
「今夜は一緒しないか?」
「じゃあ高級ホテルにチェックインできるか?」
「いいけど。どうせ稼いでいるし」
ソレは俺も同じなんだが。国際魔法少女基金もある意味で俺の所有物だし。既に無雲帝国全体の国家予算は京で数えるレベル。その金を統治しているのが無雲帝国の皇帝で……つまり俺だ。
「じゃあ今日は寝かせないぜ?」
「そういうのは……まぁいいか」
「一応俺だって女の子になれるんだからな」
「それも知ってる」
罠娘少女ダーンディアナ。その可愛さは天元突破だし、ファンも多い。そのダーンディアナちゃんが俺にだけ股を開いているという、その事実が俺を活ホッキさせているのだが。




