第40話:壱岐尾クレナイの場合
「…………」
朝起きて。
「……むにゃむにゃ」
隣で寝ているキワミには悪いが、次の予定がある。書置きだけ残して高級ホテルを出る。ホテルマンに送り出されて、俺はホテルの玄関に顔を出す。そこにはイタリア産のスーパーカーが横付けされており、グラサンをかけた壱岐尾先生が操縦席に座っていた。
「どうも。先生」
「こんなグランドホテルから出てくるなんて……。ご主人様はもしかしてお金持ち?」
「いや? 女に金を出させた」
「だったら先生が出しましたのに……」
そこに不満を持つんだな。苦笑してしまう俺だった。
「っていうか。スーパーカー乗り回して大丈夫か?」
「一応運転には一家言ありますので。ご主人様はどうぞ助手席へ」
「ん。ああ。そうだな」
そうして助手席に座ってドライブを開始する。東京の道路を走っていく。もちろん異様に目立っていた。仕方ない事とは言え。中にはスマホで写真を撮ろうとする俗物まで現れたが、ソレはまぁ却下ということで。WARPドライバを使って、ちょっと、な。
「学校を休んで担任教諭とドライブデートか」
「別にいいじゃないですか。先生が養ってあげますよ?」
それはそれで嬉しい提案ではあるのだが。
「ホテルでモーニングは取りましたか?」
「いや、何も食ってねえ」
「じゃあパックにでも行きますか」
パック。正確にはスパイクナルドバーガーと呼ばれるハンバーガーチェーン店だ。期間限定メニューを頼んで、ハンバーガーに被りつく。ついでにポテトを食べて、ジュースで流し込む。いつもはキレイさんの手料理で家庭的な味に飢えているが、ジャンクフードもそれはそれで。
「ご主人様……」
「どうかしたか?」
「先生は……もしかしたら……無雲帝国に敵対するかもしれません」
うん。既に知ってるんだよなぁ。キラとキワミからも聞いたし、そうじゃなくてもツインクイーンから報告は上がっている。その書類は読んだので米軍がどう動いているかは、俺も結構知っている。メアリーシステムもあることだし。
「米軍から国際魔法少女基金に入金があったそうです」
「へー」
まさに知らないフリのお手本のような俺の演技。
「第七艦隊を動かすので、魔法少女には護衛を頼みたい……と」
「受けるのか?」
「悩んでおります。仕事上受けなければならないですが、ご主人様の住まう独富島に侵攻する米軍の味方をするのはイヤです」
結局、全員魔法少女として戦争に加担したくないんだな。
「それだけ理性が働いているなら問題ないんじゃないか?」
「ご主人様は先生が無雲帝国の敵になってもいいと仰る?」
「ダメというのは容易いが……」
要するにキラとキワミにも言ったことだ。本当に米軍の兵士の命を救護することが仕事なら魔法少女はどうすべきか。
「…………」
少し考えるように壱岐尾先生は黙った。何を考えているかは知る由もない。俺はハンバーガーのセットを食べ終えて、さすがにスーパーカーに油汚れを付けるわけにもいかず。手拭きで指を洗浄して、最後にジュースを飲んで胃に流し込む。ちなみに金を出したのは壱岐尾先生だ。
「つまり、兵士たちの命が最優先ということは……」
「そういうことだろうな」
「な……るほど」
そうしてスッキリした表情でクスリと笑って、壱岐尾先生は俺にキスをした。
「ご主人様……♡ ありがとうございます♡」
そうして壱岐尾先生の車は地下駐車場に入った。
「なんでここに?」
「人目が無い方がいいかと思って」
プツン、と壱岐尾先生のスーツのボタンが一つ外れる。そうして豊かなおっぱいがプルンと揺れる。自称Hカップ。爆乳と言って差し支えない。香鳴キレイさんよりも、さらに大きい。でも俺には一目で大小を図る機能は持ち得ていない。
「ご主人様……私を汚してください。私に勇気をください」
「与えるのはいいが……それで勇気になるか?」
「ご主人様に必要とされたいんです♡」
それはまぁ否定も難しいが。壱岐尾先生は俺にキスをしながらスーツのボタンを一つ一つ外していく。露わになったのはシャツと、それを突き上げる豊かな胸。そのシャツもボタンが外れていく。
「ごしゅ♡ じん♡ さまぁ……♡」
淫らに俺にキスをしながら、壱岐尾先生はテンションを上げていく。まぁメス奴隷に求められる快感は、男として何も感じないと言えばウソにはなるが。
「滅茶苦茶にしていいんだな」
「はい♡ ご主人様の想うがままに♡」
そうして俺と壱岐尾先生は身体を重ねた。互いを貪り合うように擦りつけて、車の中で何度も何度も。気付けば、車の中が、そういう匂いで満たされていた。
「大丈夫か? これ……」
「消臭スプレーは常備しておりますので」
フワリと科学的ないい匂いが撒き散らされる。
「おい。メスブタ」
「あぁ♡ はい♡ ご主人様♡」
瞳にまでハートマークを刻んで、うっとりとした目で壱岐尾先生は俺を見る。
「やるべきことを見失うなよ?」
「はい♡ 基金から振込がなされたら……ウナギでも食べに行きましょうね」
「どうせなら本場フレンチでも食べに行かないか?」
「いいですね。ブローギアを使えば、フランスまで一瞬ですし」
「怪我だけはするなよな」
「それも大丈夫です。でもご主人様に案じて貰えるのは嬉しいです♡」
「その身体は誰のものだ?」
「ご主人様のモノです♡ 私は一時的に貸借しているだけ♡」
「だったら……俺のモノに傷はつけるなよ?」
「御心のままに」
「約束を破ったら、お前の恥ずかしい動画がネットを席捲するからな」
「ああ♡ そうなったら女として終わりですね♡」
「俺が一生飼い殺してやる」
「そうしてくれると嬉しいです♡」
とはいえ、ブローギアの絶対防御を貫通する兵器を米軍が持っているとも思えんのだが。
「そのぅ♡ それでぇ♡ ご主人様ぁ♡」
「まだ何か?」
「ん♡ ちゅ♡ んぱ♡」
情熱的に、壱岐尾先生は俺にキスしてきた。
「もっとしましょう? ……♡」
「やるのはいいが……壱岐尾先生はいいのか?」
「ここではメスブタって呼んでください♡」
どうやらスイッチが入ってしまったらしい。じゃあ仕方ないか。
「メスブタ。俺のモノが欲しいなら、相応の態度ってモノが必要じゃないか?」
俺のアレも、また活ホッキしていた。陶酔した表情で壱岐尾先生は言う。
「スケベで我慢の利かない先生の――――にご主人様の――――をお恵みくださいませ♡」
それでいい。




