第4話:魔法少女の全ラ
「おお、今日は罠娘少女ダーンディアナか!」
そうして祖母ちゃんの残した家で一人暮らしを始めた頃。世界でまたメターマンが暴れ出し、それを鎮圧するために魔法少女が出勤する。魔法少女サークルことバーゴストライクは四人の魔法少女が所属している。今日はその一人。罠娘少女ダーンディアナというわけだ。電磁魔法の使い手で雷を操る戦い方をする。
「今日のダーンディアナちゃんも可愛いなぁ」
スマホの動画を見ながら俺はキモくニヤニヤする。いや、でもしょうがなくない?そりゃ罠娘少女ダーンディアナちゃんが動画に映っていたら誰だってニヤニヤするよ。しない奴は感覚がバグってる。
「コイル全開」
ダーンディアナちゃんの魔法は電磁魔法。彼女の周囲で電気がバチバチと放電する。
「GIIIII!」
今日のメターマンはクラゲ型。人型なのに、全身ブヨブヨしていて、触手がウネウネと踊っている。一言で言ってキモいが、そこにはまぁ目をつぶるとして。放電を使ってクラゲ型メターマンを追い詰めていくダーンディアナちゃん。そうして追い詰められたメターマンは巨大化する。
「うーん。美味いな」
で、俺はお隣さんから貰った海苔の佃煮でご飯を食べていた。祖母ちゃんの家は住み心地が良く。俺は畳の一室で飯を食っている。スマホでバーゴストライクの動画を見ながら飯を食う。何という贅沢。
「お、ダーンディアナちゃんの方も終わりそうだな」
そうして巨大化したクラゲ型メターマンに、さらなる放電で応えるダーンディアナちゃん。両手を胸の前で向かい合わせ、そこに電気によるエネルギー塊を創り出す。
「クーロン反発ブレイカー!」
その電気のエネルギー塊をメターマンに叩きつけ、圧倒的電力がクーロン反発を無効化する。相手の電磁気に干渉した結果だ。そしてトドメ。
「ジャッジメントブロー!」
空中を踏みしめてダーンディアナちゃんが拳を振るう。クーロン反発を無効化されたメターマンに硬度はもはやない。あっさりと肉体が崩壊して、そのまま決着。動画の同接はとんでもないことになり、投げ銭も多額というか常識の範疇を超える。ちゃんとバーゴストライクの許可を得ている公式のチャンネルの生配信なので、投げ銭はバーゴストライクに還元されている。
「ピスタキオン・サルベーション」
そうしてピスタキオン・サルベーションを発動。メターマンによって壊された都市部や、被害を受けた人たちが全員無事息災となる。
「おら、世界を救ってやったぞ。どうだ?」
グッとドローンカメラにサムズアップする罠娘少女ダーンディアナ。
「ディアナちゃん神!」
「男って本当ですか!?」
「よしんば男でもいい!」
「おう。チャンネル登録と高評価も忘れるなよ?」
そうしてダーンディアナちゃんはワープして消えた。
「はー。今日のバーゴストライクも最高でしたわ」
ご飯と佃煮。唐揚げとサラダ。そうして健康的な食事をとっていると。
――――――――
畳の座敷に魔法陣が描かれ、それは畳の面から人の平均値の身長の高さまで持ちあがる。そうして魔法陣が役目を終えて消えるとそこにはダーンディアナちゃんが立っていた。しかも一糸まとわぬ姿で。御胸は残念無念。だがダーンディアナちゃんがAAAカップであることは既に承知の事実。俺としてもそこはツッコまない。
「ふい。一応終わったとはいえ……」
そのダーンディアナちゃんはそういう風に苦労をしのばせる言葉を言おうとして、そのまま俺と目が合った。
「……………………」
「……………………」
呆然とする俺とダーンディアナちゃん。ラ。全ラ。服を着ていない。色んな所が見えている。
「キャアアアアアアアアアアアッッッ!」
で、悲鳴を上げられるのはいいんだが。いや良くは無いがいいとして。俺としてはダーンディアナちゃんの全ラだ。目に焼き付けておかないと気が済まない。
「見るな変態!」
「と、言われても無理な話」
そこにダーンディアナちゃんがいる。それだけで俺には御褒美だ。むしろこれでダーンディアナちゃんの全ラを見るなと言われる方が苦行だ。
「この変態! 俺の裸は安くないぞ!」
「ふっ。こうなったら写真に収めるしか」
「や、やめ……やめろぅぅぅ」
泣きそうなダーンディアナちゃんでした。
「まぁそれは冗談として」
「本当に冗談なんだな?」
イエスアイドゥー。全ラのダーンディアナちゃんを撮影したい気持ちはあるが、それはそれとして、今は異常事態の解明だ。
「そもそも何でダーンディアナちゃんが俺の家に?」
「変身解除のための場所がここに設定されているんだよ」
明るい金髪をグシャグシャと掻きながら、諦めた様にダーンディアナちゃんが言う。そうして彼女の全ラを拝んで、ありがたやーと手を合わせているとゴツンと拳骨をくらった。世の中は不条理だ。
「で? お前は誰だ? なんでこの家にいる?」
「ああ、引っ越してきたの。来年度から独富学園に通うことになるから」
「学年は?」
「二年生」
「タメか……」
そうしている間にも罠娘少女ダーンディアナのドレスティック・インバータが終わり、彼女は一般的な服装に戻った。
「っていうか、そうすると俺はこれからこの家でドレスティック・インバータをするからお前に裸を見られるということか?」
金髪のデニムファッションをしている可愛い子が現れた。顔は中性的だけど、一瞬男の子にも見えて。まぁダーンディアナちゃんに限ってそんなことは無いんだけど。
「お前、名前は?」
「遠藤オワル」
「遠藤オワル!? もしかしてオワっちか!?」
「オワっちって……懐かしい言い方。えーと、もしかして」
「斑鳩マスラオだよ! ほら! 幼稚園で一緒だった!」
「マーちゃん?」
「うわ。懐かしい。そのあだ名で呼んでくれる奴、今もういないぜ?」
「え? あれ? マーちゃん……マスラオが罠娘少女ダーンディアナ?」
「え? あ? まぁ……そうだな?」
「マスラオって男じゃなかった?」
「まぁそうなんだけどさ。魔法少女に変身している時だけ女の身体になるんだよ」
「じゃあ今は……」
俺はマスラオの股間をズボン越しに見る。
「もちろん男のアレがついてるぜ?」
「ダーンディアナちゃんマジで男だったの!?」
「しょうがないだろ! 俺だっていきなりブローギアに選ばれて魔法少女をやることになったんだよ!」
「そっかー。マスラオが魔法少女」
「それでさー。あのー。この事は黙っていただけると……」
「まぁ魔法少女の出自は聞かないのがマナーだよな」
「っていうか引っ越してきたんだな。お前」
俺が本国に引っ越すことになったとき、マスラオはワンワン泣いていたっけ。




