第25話:ボクの旦那様
「ここか」
どうせ罠娘少女ダーンディアナことマスラオは俺の家で全裸になっているだろう。ということで俺も船の便に乗って独富島まで。パスポートは必要だが、ほぼ形骸化して久しい。そりゃ日本語で話しているし、日本銀行券を使っているんじゃなぁ。そうして元の服装に戻っているマスラオを想像しながら、ついでと言った感じに船に乗る。WARPドライバで戻ってもいいのだが、それはまぁ最終手段ということにしておこう。そうこうして。
「遠藤様ですね。承っております」
独富島で最も格式の高いホテルのレストラン。この前キラとマスラオと一緒に行ったところだ。あんときは途中でスマホアプリが通知を鳴らして究極少女アルテミストの戦いをライブで見たっけ。そうしてホテルマンに案内されて、レストランの個室へ。金持ってんのなー、と思ったが当たり前だ。二江さん……キワミは魔法少女なのだから。
「や、やあ。遠藤くん。今日は良くお越しくださいました」
なんか微妙に別会社のお偉いさんを接待するような感じで一人の男が俺に挨拶してきた。俺も頭を下げる。
「今日はよろしくお願いします」
その妻だろう女性の方は、ニコニコとした笑顔で俺を品定めしていた。こっちもこっちでちょっと油断ならんというか。
「……旦那様……こっち。……座って?」
あ、もう俺の呼称は旦那様で決定なのね。ていうか俺然程のことはしとらんのだが。あくまで究極少女アルテミストの全ラ写真を撮っただけで。
「まず確認したいのだけどね」
男性……父親の方が俺に言う。
「娘……キワミと遠藤くんは付き合っているのかね?」
「いえ。赤の他人です」
ここはバッサリ斬りつけよう。後々誤解させた方が可哀想だ。
「しかし娘が君にベタ惚れなんだが」
「とは仰られても」
別に何もしてない……は虚偽に当たるのだろうが。
「……旦那様はボクの弱みを握っています。……だからボクは旦那様に逆らえません」
すっごいショッキングなことをあっさりと言ってしまうキワミさん。あのーもしもし?
「つまり……」
つまり?
「娘を脅して交際関係まで?」
「だから赤の他人ですって」
何回言わせるんだ。このこと。
「しかしだね。このキワミの惚れ様は……」
「まぁいいじゃない。とりあえず食事にしましょう? 遠藤くんもいいわよね?」
「えーと。ゴチになります」
キワミは稼いでいるだろうし、二江家が栄えているのは必然。なんなら親は働かなくとも贅沢に生きていける。そのキワミの父親はエンドレース株式会社でとある部署の課長をしているらしい。エンドレース株式会社に入社して一定の地位にいることはかなり難しい。なにせゴーグルを間違って名付けたとある会社と同じレベルで技術力を求められる。しかも独富島はメターマンが横行しているので、少しでも不審なことを考えれば彼らに襲われる。結果、エンドレース株式会社は社員から絶対の忠誠を誓われているのだが。だがその基盤となる産業の都合上世界でも五指に入る売り上げを記録しており、しかも競合他社が存在しないという市場の独占を行っており、社員に払われる給料は一介のサラリーマンでも膨大な給料だ。エンドレース株式会社の所属社員だけじゃなく、その会社の関係者まで加えるとエンドレース株式会社に関係している独富島の島民は五割を超え、ほぼ無雲帝国の一強になっている。というか悪の組織レコンキスタドーンが無雲帝国を樹立する前は東京という名前のついた田舎だったので、まぁそれはそれとして。
「へー。エンドレース株式会社に……」
エネルギー産業を軸にしており、無雲帝国……つまり独富島の電気料金と通信費が異常なまでに安いのは、エンドレース株式会社がバンバン電気を作ってるからに他ならない。
キワミも父親はそこの課長だという。確かに言われてみるとエリートっぽい面。
「それでキワミ。お前は遠藤くんを何で好きになったんだね?」
「……恥ずかしいところを見られた♡」
「……………………」
そこで睨まれても返せるものはございませんぞ。キワミのお父さん。
「……だからね……ボクの貞操はオワルくんに捧げるの♡」
あっはっはー。笑えねー。笑う必要もないっちゃないんだが。
「遠藤くん……」
「あ、はい、何でしょうか?」
コース料理の一つ。カルパッチョを食べながら俺は聞き返す。さすがに最高級のホテルだけあって料理も美味しいし、ホテルマンの気配りも最高だ。とりあえずフレッシュジュースをお代わりして、そうして酒を飲んでいるキワミの両親からグダグダと絡まれる。
「君はだなー。私たちの愛娘の大変なモノを盗んでいったんだぞー」
すでに出来上がっているのだろう。顔を赤くして娘自慢を始める父親の方。母親の方はザルなのか。するするとブランデーを飲みながら、それでも酔った形跡がない。
「それで? 白状しなさい。どこまでやっているの?」
「やってございません」
「……今日はホテルに泊まるから……やろうね」
いや、だからやっちゃったら俺の社会的な責任がな?
「っていうか旦那様にはもう全部バレているしね」
メイン料理であるステーキのフルーツソース掛けはとても美味しかったが、まぁそれはそれとして。
「私たちの娘がー。誰とも知らない男にー」
「大丈夫ですか? オタクの旦那さん」
「気にしなくていいわ。酒飲んで醜態晒すのはいつものことだもの」
奥さんも苦労しているんだなー。
「娘の旦那様よ? 気にならないわけなくない?」
言っている意味はようと分かるが、本気で俺にとってはなんだかなぁで。
「これからもキワミとは仲良くしてあげてね?」
「ソレはどういう意味で?」
「もちろん孫の顔を見せてくれるなら早い方がいいと思うわ」
人の話、聞いてます?
「キワミ~! いかないでくれー! その男はだなー……」
最後にデザートのアイスを食べてコース料理は終了。そうして食事が終わると父親とは母親の夫婦ペア。俺とキワミの高校生ペアで別れてホテルの部屋に泊まることになった。
「えーと。これって……」
「……ほら……入ろうよ……旦那様」
「入るっつってもなー」
「……あの恥ずかしい写真で……ボクを脅したらボクは逆らえないよ?」
「いや、アレは芸術的価値を持つ一般的な品ではなく……」
「……挟む? ……しゃぶる? ……挿れる?」
「ちなみにご経験は?」
「……ない……けど……勉強はした」
さいですか。
「……なので後は実践あるのみ」
「ちなみにそれって俺も巻き込まれる系?」
「……旦那様と……したい」
そっかー。したいのかー。
「……その……ボクのおっぱいEカップでして」
「はあ」
「……独富学園の三美姫では一番おっぱい大きいよ?」
ソレは知ってる。
「……斑鳩くんとも星崎さんとも仲良くしてるけど、……ボクの方がおっぱい大きい♡」
うん、まぁデカくて不満はないのだが、小さいのもそれはそれで。




