第23話:最後の魔法少女の正体
「むぐ」
今日は週末の休みの日。俺はお隣の香鳴さん家から貰った煮物をおかずに、米と味噌汁を食べていた。どっちもインスタントだが。しばらく一人でモグモグと飯を食っていると、スマホから通知が来て、今日のメターマンの情報が現れた。今回はロシアで暴れているらしい。まぁよくぞ覚悟をしたものだ、とは思ったが、思ったより人というのは頭が良くないのかもしれない。今回のメターマンはカマキリ型。腕の代わりに鎌が生えており、本来ならそれは獲物を捕まえるためのモノのはずだが、メターマンとなったカマキリはその鎌でコンクリートを切り裂いていた。もちろんブレスも標準装備。
「さーてそうすっと」
ドローンカメラはリアルタイムで、そのメターマンの暴虐をライブで動画に出力していたが、これがまたネット民には大うけで。
『バカだなぁ』
『わかる。バカ』
『懲りろよ』
『言うてやるな』
『無雲帝国に反逆とか……』
日本の独富島を独立させて一国家と承認させた無雲帝国。言葉は日本語だし、金は日本円だが、まぁそれはそれとして。国際魔法少女基金に入金が行われたのだろう。
「……そこまでです」
お。大きいおっぱいに可憐な瞳。今日の魔法少女のドレスはゴシック系。
『キター!』
『俺の推し!』
『アルテミスト!』
『おっぱい大きい!』
『さすがだぜ!』
そう。究極少女アルテミストが、今日はメターマンを討伐するのはアルテミストらしい。既に辺りはボロボロだ。ロシアの都市部が甚大な被害を出している。無雲帝国に逆らおうとするからそういうことになるのだが、それは言わぬが花なのだろう。俺はスマホでアルテミストの戦いを見ながら、ついでに飯を食う。ちゃんと朝食をとるのも大切なことだ。
「うーん。キレイさんの煮物は美味しいなぁ」
うまうま、と食べながらスマホのアルテミストを見る。すでに相手の攻撃を斥力で封じ、一方的に攻撃を繰り返す。パワーレールガンを叩きつけて、メターマンを追い詰めていく。
「SHAAA!」
メターマンも鎌を振るって切り裂こうとするが、アルテミストの絶対領域の前にはなすすべなく封殺される。
「……ブーステッド・ジャッジメント」
さらなる攻撃を、と鎌を振るうカマキリ型メターマンを超音速で加速させる。それは大気摩擦で高温を発生させ、そのまま焼き滅ぼせればよかったのだが。中々そう言うわけにもいかず。
「ISYAAA!」
まぁ毎度は毎度で毎度のこと。カマキリ型メターマンが巨大化した。別にそれいいんだが。アルテミストが負けるとは思えないし。
「……パワープリズン」
斥力で囲った檻。あるいは牢屋。そのまま魔法少女のステッキ、ブローギアを構える。
「……ファイナリティマジック」
『キター!』
『やっちまえ!』
『これぞ必殺』
『アルテミストハァハァ』
『終わりだ』
ネットも沸騰しているらしい。
「……ホワイトホール……インパクト」
カッと閃光が奔る。無制限のエネルギーがパワープリズンの内部から発生し、無限の熱量が巨大化したメターマンを焼く。
「ふう」
そうしてメターマンは塵へと還って。
「……ピスタキオン・サルベーション」
さらに魔法を行使するアルテミスト。超光速粒子が因果を逆転させて、都市をメターマンの破壊から修復する。まさに魔法だ。
「それで、こうなるわけだ」
もちろんオチは読めていた。俺はキレイさんの煮物を食いながら、白米を美味しく食べていたのだが、魔法少女のドレスティック・インバータはこの部屋で行われる。転移のための魔法陣が畳敷きの屋敷に現れて、俺の視界の中で究極少女アルテミストがドレスティック・インバータで普通の女の子に戻る。
「ほー」
現れたのは独富学園の三美姫の一角。二江キワミさんだった。キラとは比較にならないおっぱい。それでもキレイさんや壱岐尾先生には勝てないが。それでもEとかFはありそうなおっぱいだった。その彼女はドレスティック・インバータで全ラになり、その様を俺に動画で撮られていた。
「ナイスですねー」
自分の全ラが動画として残る。それは女子には屈辱だろう。俺には関係ないけど。
「……えーと。……遠藤さん?」
「おう。俺だぞ?」
スマホで二江さんの全ラ動画を撮りながら答える。
「……何をしているので?」
「二江さんのラを撮っている」
他に何しているか解釈あるか? しかしまさか三美姫が全員魔法少女だったとは。
「……私のラって貴重?」
「まぁ貴重だな。俺としてお珍宝が活ホッキ」
「……ボクのラで興奮する?」
「超するぞ」
「……そっかー」
何を納得したんだろう。
「……遠藤さん」
「何でしょう?」
「……今日の夜、……時間ある?」
「まぁ予定はないが」
昼からはマスラオと遊ぶ約束をしているが。夜は予定ない。
「……じゃあ空けておいて。……ボクに予定を使って?」
「構わんが、何をするかだけ聞いても?」
「……親に遠藤さんを紹介する」
「…………えーと……それって」
「……婚約しよう? ……遠藤さん……いえ……旦那様」
そうくるかー。
「……お父さんから言われたの。……旦那以外にラを見せるなって」
「それで俺にラを見せたから、俺が旦那だと?」
それもそれでどうよ。
「……遠藤さん……オワルなら……ボクも文句ない」
さり気に俺をオワルって呼んでるし。
「……オワル……ボクの旦那様になって?」
「この歳で婚約というものな」
「……でも……ボクのラを撮った。……脅して好きにして?」
「していいのか?」
スマホのカメラを収めて、それからまた食事を再開する。
「……御飯中だったの?」
「まぁ。こうなることは予想の範疇だったというのか」
「……旦那様。……あなたに全てを捧げます」
「じゃあチューとかできるか?」
「……旦那様が望むなら」
つまりできるわけだ。
「……キス……ですよね?」
「したくないならしなくていいぞ」
「……大丈夫です。……できます」
そうして、二江さんは俺にキスをした。
「……旦那様。……これからボクはあなたの妻です」
なんか厄介なことになってきているような気がするが、気のせいか? これ。
「っていうか、二江さんは俺なんかでいいのか?」
「……ボクの事はどうかキワミ……と呼び捨ててください」
「キワミね」
究極少女アルテミストに相応しい名前だ。




