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魔法少女の変身解除シーンの場所が俺の家になってる件  作者: 揚羽常時


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第22話:香鳴さん家


「どもー」


 で、次の日。俺は鍋を持って、お隣さん……香鳴さん家の玄関に立っていた。


「あらあら。オワルちゃん。おはようございます」


「おはようございます。で、昨日言っていたカレーでございます」


 登校前の朝。『作ったカレーが余ったので食べてくれませんか?』とキレイさんにメッセージを送ったら、『じゃあご飯を炊いて待っているわ』と返ってきた。なので、米を用意してもらってキラの作ったカレーをキレイさんの炊いた米で食べることになった。


「ふわぁ~。お母さんおはよ~」


「よっす。カレン」


 で、香鳴さん家なので当然香鳴カレンも存在し。


「にゃわー!」


 パジャマ姿のカレンが悲鳴を上げる。


「あらあら。カレン。乙女のたしなみを忘れてはダメよ?」


「なんで先輩が!?」


「カレー作り過ぎたので差し入れ。いつもはキレイさんにお世話になってるし」


 まぁ俺の作ったカレーじゃないのだが。


「先輩って料理できたんすね」


 舐めんな。余裕で出来んわ。


「ほら。顔洗っていらっしゃい。コーヒーを淹れておくから」


 あらあらうふふ、とキレイさんが微笑んで、カレンが洗面所に消えていく。


「キレイさんは今日も綺麗ですね」


「あらあら。オワルちゃんは今日も格好いいわよ?」


「お世辞でも嬉しいです」


「本当なのに」


「それも伝わっていますよ」


 俺の持ってきたカレー。それから炊いた米。サラダと味噌汁と。もはやキレイさんに隙はない。


「カレー食った後に味噌汁飲むと口の中が痛くなる現象ってなんなんですかね?」


「辛味には詳しくないけど……」


 そうして意識をシャッキリさせたカレンにコーヒーを振る舞い、朝食が始まる。キレイさんの味噌汁は美味しい。ソレはもう間違いない。ついでにキラのカレーも美味しかった。


「お鍋はこっちで洗って返すわね。心配しないで」


「いえ、キレイさんの手を煩わすわけには……」


「オワルちゃん? こういうのは元人妻に任せなさい♪」


「あ、はい」


 バツイチ子持ちってなんでこんなにエロく見えるんだろうな?


「じゃあ、俺は着替えに戻ります」


「あたしも着替えないと」


 独富学園にも制服はある。あくまで高等部までは。


「カレンのこと、頼みますね」


「承りました」


 そうして俺はカレンと一緒に登校して、ついでにマスラオも付いてきて。最後にキラと一緒に登校してジエンド。


「先輩先輩! 一緒に飯食おうっす!」


 昼休み。カレンが俺の教室に突撃してきた。その勇気は買うが。


「じゃ、飯にするか」


 なんか壱岐尾先生の怨念が聞こえてきそうだけど、ソレは気のせいということで。


「あたしハヤシライス!」


「俺は担々麵にするかー」


「じゃあ私は黒ゴマ担々麺」


「俺はXO醬海鮮焼きそばで……」


 なんかもうキラやマスラオと一緒にいるのも自然になったな。もちろん周囲のヘイトは買っているのだが。


「あの三美姫と……」

「今日こそ天誅を」

「覚悟だ。後は覚悟だけだ」

「たしか包丁は」


 と、散々な限り。そうして学校生活を終えて、下校時間になったのだが。


「今日も遊びに行こうぜ! オワル!」


 マスラオが声をかけてきた。


「私も私も!」


 キラまで参戦してきて。


「わり。今日はお隣さんに御呼ばれしてるんだわ」


「お隣さんって……」


「カレンの家だな」


「むー。オワルは俺よりカレンをとるのか?」


「そういうズルい論法は使わないの」


 苦笑して、俺は家に帰ることにした。拒否されたマスラオとキラは連帯感でも沸いたのか。二人でカラオケに行くらしい。俺というイレギュラーを挟まなければ、二人は結構仲がいいらしい。あくまで俺を取り合っての軋轢……ということだろう。そのこと自体は嬉しい悲鳴ではあるのだが。


「ただいまっす! お母さん!」


「お邪魔します。キレイさん」


「あらあら。真っ直ぐ帰ってきたのね。オワルちゃんも遊んでいいのよ?」


「大体の贅沢は経験しているので。キレイさんの手料理より上はそうありませんよ」


「嬉しいわね。今日は煮物にしてみたの」


「楽しみです」


「お母さんの煮物美味しっすしね」


 で、俺とカレンは手を洗って、キレイさんが飯を作るまではソシャゲで協力プレイをしていた。マジで無雲帝国は国際的にも豊かな国なので、電気代も通信費も一般的な国では実現不可能なくらい安い。というかほぼタダ。一応人件費とかあるので全くの無料というわけにはいかないが、それでも子供が親の収入を気にしなくていい程度にはスマホを幾らでも使える環境であるのも事実で。


「ご飯が出来ましたよー」


 そうしてキレイさんの煮物が完成する。今日は白米と煮物と厚切りベーコン。あとはサラダとスープ。「野菜はちゃんととらないと」とはキレイさん談。


「美味い。マジ美味い」


 醤油の加減が絶妙だ。ミリンの甘さや酒の風味も。本当にキレイさんは料理上手なんだから。これで男を見る目さえあれば幸せだったろうに。一回夫と離婚しているのだ。何で俺が知っているかって? 黙秘。


「先輩先輩! 飯食い終わったら勉強見てください」


「お前は頭いいだろ」


 意外とカレンは成績がいい。俺も別に悪くはないが。


「というのは言い訳で、部屋で先輩とイチャイチャしたいだけっす」


「別にいいけどさ」


 キレイさんの煮物を食べられたのだ。恩返しに娘とイチャイチャするくらい幾らでも。


「あ、あと」


 とはキレイさん。


「オワルちゃんの洗濯物、取り込んで畳んでおいたから帰りに持って帰ってね?」


「取り込んでくれてたんですか?」


「ちょっと昼頃雨が降りそうだったでしょ? 万が一を考えて、ウチに避難させたの。乾燥機で乾かしたけど……ダメだったかしら」


「まったくダメじゃないどころか有難い限りですけど。なんでそこまで……」


「オワルちゃんがソレを聞くの?」


 あーはいはい。そうでしたね。


「せんぱーい。お勉強するっすよー」


「それじゃキレイさん。ご飯美味しかったですよ」


「またいつでも頼ってね?」


「その時はお願いしますね」


 苦笑して、俺はカレンの部屋まで出向いた。少女らしい可愛い部屋だ。南無三。


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