第20話:全ラ写真で脅すということ
「えーと。ホルモンと人参とジャガイモと……もちろん玉ねぎは必須だよねー」
で、今俺が何をしているかというと、スーパーマーケットに来ている。キラと二人で。俺がメシマズ疑惑を口にしたのがプライドに障ったらしく、マジでカレーを作る気満々だった。そうしてスーパーでカレーの材料を買って、俺の家で料理をしてくれるらしい。俺としては嬉しいが、新月の晩に強襲されないかが心配だ。星崎キラーンの手作りカレーとか、男子が聞いたら悶絶するレベル。一応クラスでは「冗談だプー」とか言っていたが、俺の疑惑を払しょくするためにガチで食材選びをしている。もちろん金は稼いでいるので費用はキラ持ち。別に俺が出してもいいんだが。そうしてレジを通して食材を買い、徒歩で俺の家へ。
「私のおっぱい嬉しい?」
俺の肘におっぱいを押し付けてニコニコしているキラには負けるが。
「まぁ嬉しいな」
「ちゃんと美味しいカレー作るからね?」
ああ、頑張れ。そう思っていると。
「来い」
何やら奇妙な言葉をキラは呟いた。同時に「来い」と言われて来たのはブローギア。つまり魔法少女のステッキ。俺にとっては見慣れたものだが、周囲の視線が気になった。一応誰もいない。ソレを分かってキラはブローギアを呼んだのだろう。空間転移くらいはお手の物だ。
「オワル。買い物袋持っていて」
「いいけど。ここで変身するのか?」
「周囲に誰もいないのは確認しているし」
一応そういう機能もブローギアにはあるけどさ。そもそもパーソナルジャマーが働いているので、普通の人間には気付けない。俺が何故気付けるかって。それはそれで理由があったりなかったり。
「ドレスティック・コンバータ」
瞬間的に魔法少女のドレスに代わる星崎キラーン改め堕星少女スタッブスター。
「国際魔法少女基金に入金があったみたい。私に仕事が回ってきたの。買った食材はキッチンに置いておいて。帰ってきたらカレー作ってあげるから」
「遅くなるなよ」
「まぁ三十分もあれば戻ってくるよ。どうせドレスティック・インバータの場所はオワルの部屋だしね」
違いない。
「じゃ。ワープドライバ」
そう言って一瞬で堕星少女スタッブスターはワープした。俺は買い物袋を握って、家に帰りながらスマホを見る。バーゴストライクチャンネルは既にアフリカで暴れているメターマンをドローンカメラで撮影していて。
「そこまでよ! メターマン! この世に蔓延る悪は、この堕星少女スタッブスターが許さないわ!」
心にもないことをペラペラと。ドローンカメラが堕星少女スタッブスターを映し出す。もちろんネットは沸騰。投げ銭が大量におこなわれ、国際魔法少女基金に最低で五億円貰えると知りながら、それでも世界中が魔法少女に沸騰して、大量のスーチャが送られてくる。さすがに億は超えないが、それでも日本円で数千万は飛び交うのだ。専属契約を結んでいる動画サイトもウハウハだろう。ちなみにユーキューブではないので悪しからず。魔法少女専門チャンネルがあるのだ。
「GHISYA!」
そうして今回のメターマンは鉛筆型。とはいえメターマンも人型を取るので、鉛筆とはいえ手足はあり、ついでに口もある。その口からブレスを吐くのだが。
「グラビティサンクチュアリ」
超重力の楽園が、ブレスを叩き落として地面を焼く。この重力フィールドがある限り、堕星少女スタッブスターに攻撃を加えるのは難しい。なにせ重力は万物に作用するのだから。
「グラビティレールガン」
既にスタッブスターが来る前に暴れていたメターマン。その破壊した都市群の瓦礫を弾丸に、重力で加速してレールガンにするスタッブスター。俺はそれをスマホの動画で見ていた。我が家には着いていて、食材はキッチンのテーブルに置いている。それからワクワクしながら畳の座敷で茶を飲みながらスタッブスターこと星崎キラーンの活躍を見る。
「GHIAAAA!」
さらなるブレス。だがスタッブスターには聞かない。今度はスタッブスターの番だ。
「グラビティギロチン」
超重力を細く長い面積で発生させ、上からギロチンでも振り下ろすように重力で物体を斬る。鉛筆型メターマンはそれにやられて、右腕を肩から失う。このままでは負ける。そう焦燥したのだろう。メターマンは巨大化した。というかせざるを得なかった。まぁしなかったらそれはそれで人類の方が困るのだが。
「グラビティギロチン!」
その巨大化した鉛筆型メターマンにギロチンを振り下ろすが、体積が違いすぎてあまり効果がない。
「もう。しょうがないなー」
ドローンカメラの映像で、ぷっくりと頬を膨らませ、不機嫌になるスタッブスター。
『これは』
『来るか!?』
『恐ろしい!』
『魅せてみろ!』
『今必殺の!』
「ブローギア……最大出力」
手に握ったブローギアの先端を、巨大化したメターマンに向ける。
「重力崩壊臨界点……突破……」
『キター!』
『これぞ!』
『スタッブスターの』
『奥義!』
『これ成るは!』
超重力が光すら飲み込む空間を作り、それを相対性理論ではブラックホールと呼ぶ。
「ストナァァァァァ! ブラァァァァァァック! ホォォォォォル!」
そうしてアイドルが始球式でボールを投げるように、スタッブスターもブラックホールをメターマンに向けて投げつけた。ストナーブラックホール。堕星少女スタッブスターのファイナリティマジックだ。光速すら抜け出せない事象の地平面の内側。そこに何があるかを俺は知らないし、メターマンも体験はしても即死だろう。そうして巨大化したメターマンを飲み込んで圧殺し、そうして蒸発したブラックホール。その後Vサインをドローンカメラに送って、アフリカ都市から日本にワープするスタッブスター。ネットは賞賛の嵐で、投げ銭が数千万単位で飛び交い、スタッブスターを褒め称える声がネットを埋め尽くした。それから俺がお茶を飲んでいる座敷部屋に魔法陣が現れ、堕星少女スタッブスターが転移してくる。
「ドレスティック・インバータ」
ブローギアがそう呟き、魔法少女のドレスが元の衣服に変換しようと作用するが、それには一定の時間がかかる。もちろん、その間はスタッブスターこと星崎キラーンも全ラ。俺は構えていたスマホのカメラを向けて、動画を撮影する。おっぱいもアソコも出し放題の全ラのキラを動画で取る。
「ちょ! やめてよ! 変態!」
ビーチクとアソコを手で隠しながら恥ずかしがるキラは今の時間軸で一番可愛い少女だったろう。
「いいですねー。ナイスですねー」
もちろん俺はカメラを止めない。キラの全ラを撮るのは俺の使命ですらある。彼女のラを撮って、保存する。そうして美少女を脅す。そこまでが俺に与えられた使命! というのは嘘としても。
「そんなに女体に興味があるの?」
「マジ最高。キラのおっぱいとアソコを見れるだけで俺は満足」
「そ、そこまで?」
「さて、じゃあ取引と行こう」
「な、何を要求する気よ?」
「この全ラ撮影動画を消してほしければ!」
「ほしければ?」
「裸エプロンでカレー作って? もちろん俺に見られるの覚悟で」
「くぅぅ。これで勝ったと思わないことね」
いつの時代も追い詰められた美少女の葛藤っていいものだな。




