第14話:次の日の光景
「くあ……」
朝起きた後、今日の天気を見て快晴と判断。洗濯ものを天日干しにして簡素な朝飯を食う。その後学校制服を着て家を出ると。
「おはようだ。オワル」
「おはようっす! 先輩!」
二人の麗しい人間が俺を待っていた。あえて美少女と使わなかった意味を、まぁ普通はわかるよな。一人は斑鳩マスラオなのだ。男の娘としてとても愛らしい外見はしているが美少女には該当しない。ただし魔法少女への変身時は除く。
「カレンか」
もう一人は香鳴カレン。俺の家の隣の民家に住んでいる香鳴母娘の娘の方。香鳴キレイさんが腹を痛めて産んだ子供だ。もう名前からして可憐だが、実際に美少女である。おっぱいは無いに等しいが、一応マスラオと違って女の子なので、子供を孕めば乳は出るはず。多分だが。
「おい。オワル」
不機嫌そうにマスラオが聞く。
「何か?」
「コイツは誰だ?」
「お隣さんの香鳴カレン。俺たちの後輩だぞ」
「なんでお前を待っているんだ?」
まぁ色々と事情はあるのだが。あえて言うなら。
「好かれているから?」
「うっす! あたしは先輩を愛しているっす!」
そういうわけだった。
「浮気か?」
それを成立させるためには俺に恋人がいないといけないわけだが。
「そう言うそっちは誰っすか?」
一応、俺の家の前で待っていたにしては交流はなかったらしい。別にいいけどさ。
「斑鳩マスラオ。俺の幼馴染」
「あー。独富学園の三美姫の!」
「そ、それ」
まぁんなことは言っているが、カレンも三美姫に負けないくらいの美少女ではあるんだが。実際に告白とかもされるらしく。よく俺に「先輩! どうしたらいいっすか!」とか聞いてくる。もちろん俺は華麗にスルーだ。人様の色恋沙汰に首を突っ込むほどのイケメンではないのでな。
「とりあえず行くぞ」
このままここでマスラオとカレンの牽制し合いを見ていても生産性が無い。そのまま独富学園まで。タクシーもほぼタダ同然で乗れるのだが、俺はあえて徒歩を選んでいた。健康維持……というわけではなく、単純に学園が近いだけだ。わざわざ車を使うほどでもない。雨の日は別だがな。
「それより見たっすか? 昨日のアルテミスト!」
「見た。おっぱいが凄かった」
「先輩ってそういうとこエッチっすよね。でも嫌いじゃないっすよ」
「俺は嫌いだ」
ムギュッとマスラオが俺の頬をつねってくる。一丁前に嫉妬しているらしい。まぁたしかに罠娘少女ダーンディアナはおっぱい無いけど。それはそれであり、とダーンディアナを推しにしている視聴者もいるのだ。まさか男が変身しているとかは想定の外だろうが。俺も初めて知ったときは驚いたし。
「あ! オワルー!」
で、三人で登校していると、今度はキラが駆け寄ってきた。星崎キラーン。学園の三美姫の一人。マスラオと同じくらい可愛い美少女で、ついでにおっぱいもある。茶髪に染めて色っぽい改造征服を着ている反社会派で、男に劣情を催させるという意味ではとても罪な女。
「えへへー。オワル♡」
そうしてマスラオもカレンも見えていないのか。俺の腕に遠慮なく抱き着いてくる。ソレを牽制し合っていたマスラオとカレンにしてみれば漁夫の利をせしめられた気分だろう。
「この! テメ! 星崎!」
「星崎先輩! ズルいっす!」
「ねえねえ。オワル。今日もデートしようね?」
「ソレは俺のセリフだ!」
「先輩! 三美姫とデートしてるんすか!?」
カレンの驚きも御尤もだが、まぁデートはしているな。
「オワルさえよければ私もちょっと頑張っちゃおっかなー?」
俺の二の腕におっぱいを押し付けてきて、蠱惑的に微笑むキラ。
「くぅう。おっぱいか! やっぱり最後はおっぱいか!」
「先輩! あたしのお母さんの方がおっぱい大きいっすよ!」
バツイチの人妻を捧げようとするな。まぁ事情自体は察するが。
「だからさぁ♡ オワル♡ 今日は私と……」
「ダメだ! コンプラ違反!」
で、無理矢理キラを引っ張って、俺から引き剥がすマスラオとカレン。二人ともおっぱいが無いので、この場でのアドバンテージがとれない。いやぁ。しかし朝からいい経験が出来た。キラのおっぱいか。
「もう。せっかく私がオワルを落とそうとしているのに」
「却下だ却下!」
「三美姫とはいえルールは守ってもらうっす!」
「えー、でも私オワルのこと好きだよ? それでもダメ?」
正気か?
「オワルも私のこと好きだよね?」
プレッシャーを感じる俺だが、まぁスルー。そもそもキラは俺を監視するために近づいてきているだけだ。地球全人類を見下してバカにした発言を俺に聞かれたが故に監視対象に選んでいる。それだけだろう。
「じゃ、三人仲良くな」
俺はそのまま学校へと歩き、昇降口で上履きの履き替え。そのまま教室へ。追いかけてきたキラとマスラオも同じクラスなので背中を追いかけてきており。
「…………」
俺たちが登校すると教室が騒めく。そりゃキラとマスラオが姿を見せればな。そうして教卓前の席に座ると、左隣には巨乳の美少女。独富学園の三美姫の一人、二江キワミさんが座っていた。そうして飾り気のない黒髪で、眼鏡をかけている文学少女モロだが、それでも美貌が損なわれることなく。ギャルのキラとも男の娘のマスラオとも違う……静謐なオーラを纏っている不可侵の女の子。さっきも言ったが巨乳だ。おっぱいが大きい。少なくともキラでは相手にならないくらい。
「おはよう二江さん」
「…………おはようございます」
抑揚のない声で、その様に二江さんは挨拶を返す。
「何読んでんの?」
特に意図があって聞いたわけではないが、二江さんは答えてくれた。
「……お隣さんが巨乳母娘だなと疑っていたらエロ漫画の世界に転生してしまっていた件……というライトノベルです」
何を言えと? 普通文学少女ならもうちょっとそれらしいものを読んでいてほしいのだが。巨乳母娘とかエロ漫画に転生とか。そういうのに興味があるので?
「……作家の『おっぱい過激派穏健勢』先生の書くラブコメはとても面白くて」
そう言うのは普通男子が読むものなんだがな。まぁいいか。
「おっぱい好きなの?」
「……エッチな女の子が好きですが……」
「えーと」
「……あ……同性愛者ではありませんので。……悪しからず。……それが悪いと否定するつもりはありませんが……一応男子に憧れを持っております」
さいですか。つまり男のオカズにされるエッチな女の子が好きなわけね。




