第116話:はめられたのはオワルの方
時は少し遡る。
「まったくよー」
せっかく俺専用のタージマハールも造って、そのままミズキの復讐も終わらせ、俺に殺された人々も生き返った。大量虐殺者にして暗黒の独裁者……結論少女ユニバーゴが死んで世界は平和になった。核融合技術もその内に世界に配布されるだろうし、そうして一時的にではあるが人類のエネルギー問題も解決。めでたしめでたし……のつもりだったんだが。生憎と俺は、今こうして回想しているように……生きている。
「道理でおかしいと思ったんだ。いきなり最終決戦前に幼女が俺にサインをねだってくるなんて」
ソレをおかしいとあの時思わなかった俺をぶん殴りたい。
「まさか鏡型メターマンだったとは……いっぱいくわされたな」
俺はジト目で軽やかにキーボードを叩いているイイトを見る。ちなみにキレイさんとカレンは滂沱の涙を流しながら、俺に抱き着いている。俺が死ぬ気でいることを理解して、それでも止められなかった二人だ。俺が生きているだけでも嬉しいのだ。
「あー、はいはい。俺が悪かったよ」
涙を流して俺に抱き着いてくる香鳴母娘は、とりあえず気が済むまでこうさせておくとして。俺はそのいっぱいくわせたイイトの作戦に、ある意味で拍手を送りたくなるような心境だった。
構造自体は単純だ。出かける前にコモンカードにサインした幼女が鏡型メターマンだったというだけ。そうして学業があるときに学校で交代してコピー人形のようにバーゴストライクの代わりをしていた鏡型メターマンは対象者と同じ能力を得る。そのメターマンが俺をコピーすれば、つまりコネクトーン・ネクサスをコピーできるわけで。ピスタキオン・サルベーションを使えば死んだはずの俺も生き返る……という寸法だ。
「わかっていてもやるか普通? 空気読め」
「それ、オワルに抱き着いて泣いている二人に言えますか?」
「…………」
おーいおいおい、というのは古いが、まぁとにかく号泣している香鳴母娘を見ると何も言えなくなるのも困ったものだ。まぁそりゃ香鳴母娘にとっては俺の消失なんて許せるものではなく。ついでに復活したとなれば喜びも人一倍ではあろう。
「コート着やせ。復活のユニバーゴ。……とか銘打ってアニメ映画にします?」
やめて。アニメ会社に怒られる。確かに俺がやったのってあのアニメの丸パクリではあるが。好きでゼロ・レクイエムやったわけじゃねーんだぞ。
「お前だってコネクトーンの干渉技術手に入れたんだから俺は要らないだろ」
「本気で言っているであります?」
「八割五分くらいは冗談だが」
「と、いうわけで、これからも給料くださいね。シングルモルト様?」
「わーったよ。ったく。それでキレイさんとカレンは何時まで泣いてんだ」
「だってぇ……だってぇ……」
「先輩が死んだって……あたし……」
「まぁ確かに死ぬつもりではあったんだが」
「嫌です……わたくしより先に死なないでください」
どこぞのアパート管理人か。お前は。バツイチであって未亡人ではないが。
「先輩。もうどこにもいかないで欲しいっす」
「へぇへ。お約束しますよ」
どうせ生き返ったんだ。ネタ晴らしをするのも悪くない。実は死んでいませんでした。てへぺろ♪ とか? 俺がキラだったらストナー・ブラックホールを撃ち込むな。
「じゃあ、そういうわけで♡」
ギュッと抱きしめて、キレイさんが俺に甘いキスをしてきた。目がトロンと蕩けており、メガトロ〇様とはあんまり関係ないが、こういうネタに走ってしまうのは俺の悪癖。
「するか?」
「しましょう♡」
「するっす♡」
えーと。生き返って早々、香鳴母娘とおせっせするのか? それはそれは恵まれた俺であって。
「ちなみにだが、ちょっと強引になるかもしれないが」
「オワルちゃんのお好きなように♡」
「先輩の好きにしていいっすよ?」
後でダメとか言うなよ?
「キレイさん……んッ」
そうして今度は俺からキレイさんにキスをする。そのキスを受け入れて、瞳を蕩けさせるキレイさん。
「お母さんばっかりズルいっす」
「じゃあカレンも」
「ん♡ ……っす」
そうして二人とキスをして、俺のアレがホッキ貝になって色々と残念なことになったが、香鳴母娘が全ラになって、もはや止めるものはどこにおらず。
「あ♡ あ♡ 素敵です♡ オワルちゃん♡」
「おっほぉぉ♡ 先輩の♡ あたしの奥まで届いてるっす♡」
きっと俺のディープキスが喉奥まで届いているんだろうな。
何をしているかって? 運動ですよ?
「キレイさんもお盛んでありますよね」
まさに他人事であるかのようにイイトが言う。
「だ、だって♡ オワルちゃんの元夫のより凄くて♡」
「おほぉぉ♡ こんなのもう敗北するしかないっすよ♡」
「でこれから俺はどうすればいいんだ?」
「出せばいいのでは?」
いや、おせっせの話じゃなくて。死んだと思われていた結論少女ユニバーゴが生きていたと、どう世界に説明すれば?
「おぉ♡ おぉほぉ♡ オワルちゃんの♡ みっちり許容量いっぱいまで♡」
「お母さん! 先輩の活ホッキ、独占しないで欲しいっす!」
「だって♡ これはもう♡ 女として負けるしか♡」
キレイさんは俺のセクロスの師匠だ。彼女のおかげであれやこれやが出来ることになったわけだけど。
「じゃあとりあえずソレを終わらせて、であります」
あっさりと言ってくれるな。イイト。目の前でセクロスしていても、彼女はパソコン画面の方が大事らしい。
「何するんだ?」
「要するに結論少女ユニバーゴが生きていたことを全世界に喧伝すればいいんでありますよね?」
まぁ結論だけ語ればそういうことになるが。
「出来るのか?」
「独富島のコネクトーンネットワークを使ってスタンドアローンのコンピューターにハッキング。核ミサイルを発射してもらいましょうであります」
「そしてそれを俺、というか結論少女ユニバーゴが解決すると」
「イグザクトリィであります」
そうして俺、つまりコネクトーン・ネクサスを使って、本来スタンドアローンであるはずの軍事基地のコンピューターをクラック。そうして誰とも知れぬハッカーが、常任理事国の軍事基地を乗っ取って核ミサイル発射。というのは簡単だが、それを実際に出来てしまうイイトのプログラミング技術が恐ろしい。下手をすれば結論少女ユニバーゴよりもアサルトヘイトの方が脅威なんじゃないか?
「なんか失礼なこと考えているであります?」
「ないと言えばウソになるな」
「シングルモルト様のコネクトーンネットワークありきでありますからね?」
「それもその内技術化しような」
「今まさにそれをどうすればいいか考えているであります」
イイト! 恐ろしい子!
「じゃ、そんなわけで核ミサイルの方はシクヨロであります」
「……はあ……わかったよ」
そうしてフィニッシュブローギアを呼んで握り、俺は結論少女ユニバーゴに変身するのだった。




