第102話:大恐慌
「ニューヨーク市場の株価の下落、止まりません!」
「あらゆる株式が投げ売られています! しかし買い手も無く浮動株ばかりが!」
「暗黒の木曜日の再来とも目されており……」
ニュースを見ると、まぁ酷いことに。今まで株式の値段を決めていた支配者層が一気に殺されたのだ。それだけが理由ではないが、大企業の信用失墜による株の投げ売り。それに伴う市場の下落。それらに呼応して恐慌が始まるのでは不安には知ったトレーダーたちがいち早く株式を現金化しようと株を捨ててしまい。結果として株式市場はパニックに陥ってしまった。
「ちょw 俺の財産が一夜で消えたんですけどw」
「っていうか大企業様が地球経済を支配していたんですねー」
「なるほどねー。そりゃ確かに大変な仕事だわー」
アトランティス会議を名乗っていた円卓のメンバーは世界中から非難を浴び、まぁ今更非難を浴びたところで死んでしまえば元も子もないんだが。残された財閥の所属者や大企業の取締役は火消しに奔走。だがさすがに対応が遅すぎる。すでに恐慌は始まっている。
「やっべー。世紀末じゃん」
「米国荒れてるらしいな」
「そりゃ上役があんなこと言えばなー」
愚民。支配。核ミサイル。BANの対象のオンパレードだった。
「そのー。オワル。私たちって大丈夫?」
不安そうにキラが聞いてくるが。
「まぁ大丈夫だろう。そもそも無雲帝国の経済基盤はこんなことで揺らぐほど甘くないし」
そもそもエンドレース株式会社は非上場企業なので、株式市場の評価とは縁がない。買いたいという投資家は大勢いるが、今は俺が百パーセント握っている。暴落していく株価とは対照的に、金地金などが値上がりしていくのだが、そこら辺の対策もしてはいる。というか今最も信頼されているのは無雲帝国の国庫であり、それが依存している日本銀行券だろう。
アトランティス会議に日本人が存在せず、ついでに一応先進国ということで技術による基盤もあり、円高は必然的に世相の流れになった。結果、無雲帝国の国庫も潤うわけだが。
「やべー。マジで誰も株買ってくれねー」
「一晩で財産失ったトレーダーさんたち乙です」
「逆に金地金を買っておいた俺大勝利」
ネットでも悲喜こもごもとやっているらしい。
「いやー。まさか円高になるとはー」
「日本円で稼いでいるキラは大勝利だな」
「っていうかバーゴストライク?」
そう相成るか。国際魔法少女基金からの支払いが大変なことにはなるが、まぁそれは言わないことにしよう。
「オワルは夏休みの宿題終わった?」
「あと二割ってところだな」
「えーとー、そのー」
「写させろというなら断固拒否」
「えー、いいじゃん。裸エプロンになってあげるからさー」
それも今更だろ。
「見たくない? 星崎キラーンの裸エプロン」
「既に写真に収めているしな」
「こっちは生だよ?」
「写真は写真でまた別の良さがあるんだよ」
女体に慣れても、写真で興奮する男の業って厄介だよな。
「じゃあせめて指導して? 宿題わかんないからさー」
「一学期の応用で出来るだろうが。期末テストの成績はそこそこだったろう?」
「お願いします。オワル様。私を救ってたもう」
「じゃあこの前買ったV字水着着用な」
「もっちろん♪ それくらいならお安い御用だよ」
そうして空間転移して、キラは家から宿題とV字水着を持ってきた。そうして冗談抜きでV字水着を着用。股を起点にV字型に伸びる生地がおっぱいのポッチを隠して肩まで届くという一種のジョークのような光景だが、まぁエロいの何の。
「写真取っていいか?」
「もう♡ オワルのスケベ♡」
V字水着着ている奴に言われたくねーよ。そんなわけで変態的な格好になったキラを相手に主に理数系の宿題について、俺たちは話し合うことになったのだが。
「もうこうなったら金の力で裏口入学……」
たしかにこいつならそれくらいできそうで怖いんだが。単位取得不問で卒業できそうだ。とはいえ今更学歴を手に入れたところでどうしようって話でもあるんだが。あくまで俺が独富学園の大学部に進学予定と知って、キャンパスライフを謳歌したいだけの女子高生だ。
「オワルぅ♡ ビーチク見たい?」
「いいから問題を解け。話はそれからだ」
「ノってくれてもよくない?」
「お前の全ラは既に拝んでいるだろうが」
「V字水着からこぼれるビーチクがいいんじゃん」
まったくもって否定の余地はないが。で、俺は何をしているかと言えば、底値になっている大企業の株を適当に買い漁るようにハーレクイーンに指令を下していた。大恐慌は経済インフラにおいて致命的ではあるが、逆に言えば株価がお買い得なセールキャンペーンでもある。最初から持っていると保有資産が目減りするが、持っていないならお得な値段で株式を買えるという幸せなドリームタイムでもある。略してDT。どどど、童貞ちゃうわ!
「キラは資産運用とかしないのか?」
「まぁねぇ。そもそも資産分配しないといけないのは税金対策でしょ? まず無雲帝国はあんまり納税の義務無いし」
計算が面倒で、ついでに規模も大きくないので消費税すらないレベルだ。国家運用はほぼ外資というか日本円に頼っており、エンドレース株式会社が合成燃料の輸出で儲け、それを国庫に納めているという。特に化石燃料が値上げしている昨今、お安いエンドレース株式会社の合成燃料は各国から求められ。それはそれでいいのだが、金は有り余っているので、無雲帝国の皇帝が引き金を引いた大恐慌を利用して底値の株を買い漁るのも一つの手ではなかろうか、と俺なんかは思うわけで。それはランクイーンこと朝路辺イイトとも同意見だったらしく。
「じゃあ買い漁るか」
という話になった。
「オワル。この問題わかんない」
「えーと? そこはまずどの公式を適応させるかわかるか?」
現実ではV字水着のキラを指導しながら、ネットでは株の買い漁り。恐慌くらいは起きるだろうなと思っていたが、まさか大恐慌になるとはな。
「他のバーゴストライクって株式買っていたりするのかな?」
「どうだろうな?」
あんまりそういう生臭い話はできないし。ただ感触で言えば、しているようにも思えないが。そもそも無雲帝国での口座はあらゆる意味で地球上最も信頼できる。脱税しようとウチに口座を作りたいと群がる金持ちが多いのも無雲帝国の一つの風景。もちろんお断り申し上げているが。
「既にお前の場合利子生活できるだろ」
「まーねー♪ 既に総資産二兆円超えてるしー? 無雲帝国の銀行は利子高いしー? なんにもしなくても生活費入ってくるんだよねー。いやー、持ってるわー。私持ってるわー」
こういうところが嫌いになれないんだよな。キラって。実際に彼女は持っている側だ。可愛いし魔法少女だし金持ちだし。人生イージーモードも誇大表現でもない。
「オワルぅ。宿題が終わった後、北海道までウニイクラ丼を食べに行かない? 奢るよ?」
「とても魅力的な提案だな」
「でしょ? やっぱりお金持ちは金を使ってなんぼだよねー」
普通に日本に金を流しているのは果たして良いのか悪いのか。
「それでー。高級ホテルに泊まってー。私とワンナイト♪」
「してもいいが、やるならガチだぞ」
俺としてもキラの女体を味わうのはマジで興奮するからな。




