木乃伊取りが木乃伊になる
その後薫君との打ち合わせの結果、薫君は花子の秘書ということで、一緒に次郎君の兄の英継君の元へ行くこととなった。
表向きの要件は、次郎君との結婚を認めてもらうということで、だ。そして花子が英継に会ううち、花子が次第に英継に心変わりしていくと、しょうもない設定だ。
薫君は眼鏡とオールバックで変装して、花子のもとに現れた。
「格好いい。眼鏡似合うよ、薫君」
流石は花子の初恋の相手だ。花子はにっこにっこする。
「ありがとう。花子さんも可愛いよ」
「やだ!当たり前!」
「そうだ。なるべく英継君に良い感じになったら、体を密着させるようにしてね、証拠になるからさ」
「おうまかしとけ!!」
あの英継をはめる。一刻も早く安心して次郎とラブラブしたい花子は、張り切る。
「帰れ」
何度も家の呼び鈴を鳴らして、やっとこさ会えた英継君は、花子の顔を見るなりそう言った。
英継君は眼鏡をかけた神経質そうな男性で、次郎君とは正反対そうな顔をしていた。昔の英継とは違った印象を受けた。まぁ、花子は一度しか英継に会ったことないので、何とも言いようがないが。
「ひどいです義理兄様、私♡とってもお兄様に会いたかったのに!」
花子はハンカチで潤んだ目元をぬぐう。
「家の呼び出しを百回以上押す女に会いたいと思うのか?」
「お兄様が出てこないのが悪いんです♡」
「会いたくないと気づけよ」
「何故ですか?ひっどぉーい」
「どう考えてもお前のような女が来るなんてめんどくさいことになるだろうが」
「一度しかあったことないのに知っているんですか?私のこと」
「お父さんもお母さんもお前のこと蛇蝎のごとく毛ぎらっているからな。俺もお前みたいな下賤なブスは嫌いだ」
「私お兄様のこと大好きです。お願いです、お兄様からも次郎君と私の結婚を認めてもらえるように言ってくださいませんか♡」
花子は英継の手を握ってみる。
「手を放せよ。手が汚れる」
「ひどいです、お兄様♡花子、ぷんぷん」
花子は手を離した。その手を英継がハンカチで拭いている。花子は負けじと、わざと開けた胸元を強調して見せた。
その花子の胸を英継は触ってどけた。
「消えろ。お前みたいな最下層な人間と出来損ないとはうちの人間の結婚を認めるわけないだろう」
いや人の胸を触らんでもどけることはできただろうが!と花子は内心はらわた煮えくりかえる思いになった。
「残念です、お兄様。また来ますね♡」
とか言って花子はにっこり微笑んだ。
「………」
英継の家から外に出てから、薫君が花子の顔を見ているのに気づく。
「何?薫君」
「いや、花子さんって案外まともに誘惑で来たんだなって。少しやりすぎだけど」
「失礼だな、薫君。一応この日のためにキャバ嬢の仕草を調べたんだ。面倒なんで裸になって抱き着けばいいとか思ったけど、今日寒いからさ」
「そっか。でも今日のでもう十分だよ。ありがとう、花子さん、彼を追い詰められそうだ」
「あんなんでいいの?私別に何もしてないけど」
「十分だよ。これ口止め料の百万」
「ひ、百万!?」
「うん。雇い主が花子さんにって」
「よっしゃぁあああああ!今日は祝杯じゃい!!」
花子は盛り上がり焼酎を飲んで飲みまくり、ゲロを吐いて気が付いたら花子は裸で上半身裸の薫君とベッドで寝ていました。
血の気が引く花子に、隣の薫は困ったように微笑んでいた。
「わ、私たち何もしてないよね」
「ごめんね」
花子はベッドに倒れこんだ。




