長い時間の中で、ようやく失恋を悟る。
いやそこで花子は過去のことを思いだす。
いや待てよ。
過去薫君は花子のことを飼い犬と似ていると言っていたが、実際花子の気のせいではなかったら、薫君とはいい感じになっていたような気がする。
ちらりと花子は薫の方に目を向けると、薫君は恥ずかしそうな顔をして、ちらちら半裸の花子の方を見ている。
くくく、薫君よ、飼い犬に対してその反応をするかな?
にやりと、花子はほくそ笑む。
「薫君、好き」
花子は薫に近づき、囁いてみた。
すると、花子は薫に抱きしめられた。
そして薫の顔が、花子の口元に近づいてきたが、咄嗟に花子は薫の口元を手で押さえて、キスを阻んでしまった。
なぜ?
あんなに望んでいた薫とのキスなのに。
そのまま薫に、花子は押し倒された。
裸になって襲う気満々った花子だが、逆に押し倒されると怯えてしまった。花子の目から涙がこぼれ落ちてきた。
花子の目の涙を見た薫は、「ごめん」といって花子から離れた。
「私こそごめん!!」
花子はそう叫ぶと、そのまま走って薫の家から出た。
花子は全速力で走りながら混乱していた。
なぜ?
なぜ?
せっかくの薫君と恋人になるチャンスだったのに。
走っているのが限界になって、花子は立ち止まった。
そう確かに薫君のことは好きだ。
ずっと好きだった。
今もその思いは変わらない。
でも考えてみれば花子が恋した薫君は、あの中学生時代の薫君だ。今の薫君のことは知らない。
ずっと好きだったけど、花子はもうとっくに恋が終わっていたのに気づいた。花子の目から涙がこぼれ落ちた。
あの時薫は結局桜のことを選んだのだった。




