嬉恥ずかしちっす
あれから何年かたった大人の花子は、振られてしまった薫君に、もう一度告白することにするのだった。
花子は昔教えてもらった薫君の連絡番号にかけてみたが、「現在使われておりません」と出てしまった。ずきんと、心臓が痛くなる。
「当たり前だよね」
もう何年も前の薫君の連絡先だ。薫君は花子のこと忘れてしまったのかもしれないと思う。それでも花子はどうしても薫君に思いを伝えたかったので、顔が広そうな同級生だった加瀬やり珍に連絡をとった。
「もしもし加瀬君?山田花子だけど久しぶり。少し聞きたいことがあるんだけど」
「や、山田花子!!!あの呪われた」
加瀬は花子からの連絡に、とても怯えた様子だった。なんでやねん。
「薫君の連絡先知らない?薫君に会いたいの」
「ま、まさかあいつを呪うつもりか?」
「なんでやねん!違う。ただ会いたいの」
「世の中ストーカー防止法があってな」
「うるせぇ、とっとと教えろや。私の〇〇食わせるぞ」
「勘弁してください」
そんなやり取りをし、花子は薫君の家の住所を教えてもらった。突然薫君の家に押し掛けるなんて、やばいなと思いつつ、花子は薫君に会いに行くことにした。
行こうとした前日、花子の家の前に、何故だか次郎が立っていた。
「花子、あいつに行かないでくれ」
「次郎」
「俺思ったより、お前のこと好きみたいだ」
「え、まじ?」
「まじだ」
「ふぅーん」
その次郎の気持ちは正直嬉しいが。
「悪いけど、このまま薫君に振られるにしろ何にしろ、やっぱりこのままじゃ不完全燃焼だから、告白だけはしたいの」
「分かっている」
そのまま次郎は俯いてしまう。
家に入れるわけにもいかないし、どうしたもんかと花子も立ち往生だ。
「なぁ、キスしていいか?」
「いやなんでやねん」
花子は大阪人でもないのに、最近なぜかえせ大阪弁使っている機会が多いなと、首をかしげる。
「キスしたら、俺がお前のことゴリラじゃなくて、人だと思っているかどうかわかるような気がする」
「動物園にいけや」
「なぁ、頬でいいから」
必死な様子で次郎がいうから、花子はうなずいてしまった。
次郎の唇が、花子の柔らかな美しい世界一の頬に触れる。
次郎の顔が真っ赤になっていた。
そのまま何を思ったのか、次郎は花子の顎をつかみそのまま口に口づけてきたので、頭にきて次郎の横っ面をぶん殴ってしまった。
「すまない!」
慌てた様子の次郎に、花子は動揺して家のドアを閉めてその場に座り込んだ。
自分の胸が早く鼓動を刻んでいるのが分かる。どきどきしてしまっている自分が、花子はなんだか嫌だった。
嫌だったので、花子は自分の鼻毛をむしって、どきどきを抑え込んだ。




