うまくバック転すれば、パンツは見えない。
次郎の父親の尻を布団たたきで殴打した後、泣きながらバク転を決め続けた花子は警察に連行され、次郎君の歎願もあって花子はすぐに釈放されたのだった。
迎えに来ない花子の父親の代わりに、次郎が待っていてくれた。でてきてげっそりしている次郎に、「よお」と手を振ってくれるのは嬉しい
。
二人して帰り道を歩いているときに、次郎は立ち止まって花子の方を見た。
「なぁ、花子、本当に俺たち恋人にならね?そうすれば俺本当にお見合いしなくてならなくなるだろうし」
そうカタカタ震えながら次郎がいう。
「いや、なんで次郎君震えてんの?」
「そ、そ、そ、そうか?」
「次郎君震えながら告白なんて斬新だね♡でももう次郎君のお父さんとの揉め事はノーサンキューかな」
「それもそうだな。花子、お前に言っていなかったことがあったんだが」
次郎君は深刻な顔だ。
いやそもそもいつの間にか次郎は花子と呼び捨てにしている。
「いまさら言うのも何なんだが、俺に来たお見合い写真の女が、その、俺の好みだった」
そういう次郎の眉毛を「ふんっ!」と、軽くむしった花子のことを、許してくれるだろう。
まぁ、暴力はいけないが。
次郎は悲鳴を上げている。
花子は深い深い深海のような深いため息をして、もう一度バック転を決めてみた。
「ま、まぁ、お見合いは嫌だけどな」
苦い顔で言う次郎君。
もう花子はさすがに疲れたよ。
そうして花子と次郎君のお見合い作戦は終わったのだった。
次郎は泣きながら意味不明なバク転を決める花子に、心底恐怖を覚えたのだった。
花子は薫の姿を思い浮かべ、どうするべきかぼんやり考え続けていた。
振られる可能性が高いのに、告白する意味は何なのだろう?
とにかく花子は薫に会いたくなかった。




