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どんと来い!タコす!!

「あー」


「ど、どうしたんだ、てめぇ?」


まるで廃人のような口と目を半開きで、宙を見る花子に、次郎は戦々恐々する。


次郎の家に行くことになって待ち合わせ場所に花子がやってきたのだが、花子はもうまるで廃人のような感じだった。


怖すぎて、次郎の全身ががくがく震える。


「あー」


先ほどから花子は「あー」しか言っていない。


「しっかりしろよ!なにがあったんだよ?花子」


「あー」

まるで魂が抜けてしまったような花子の様子。

とにかく次郎は花子を引きずりつつ、家へと急いだ。



「それで俺に何の用かな?こう見えて俺は今忙しいんだよ」

にこにこ次郎の父の公博は、椅子の上で微笑んでいる。


その微笑みはいつも公博が不機嫌な時の笑みだ。それを見た次郎は内心、戦々恐々している。きょうは次郎の母親がいないときを見計らって、次郎は花子を連れてきたのだが、父親の公博も相当のつわものだ。

怯えた次郎は膝で腑抜けている花子をつつく。


「は、花子。しっかりしろ!!」


「あー?」


花子は相変わらず虚ろである。


「彼女、どうしたんだい?何か変な様子だけど」


「お、おやじ、こいつはえ、と、俺の女なんだ。だから結婚するのは無理なんだ」


「失礼だけど彼女は美人でもないし、家がいいわけでもない。次郎、君はまだ若いからいくらでも気が変わる。見合いの相手は美人で家柄もいい。よく考えなさい」


公博の言葉に、花子はなんとか恋の痛手から我に返り、公博を憐みの目で見た。


「君には手切れ金でも支払うから、即刻次郎とは別れてもらおうか?」


そもそも付き合っていない。


「哀れな人ですね」

哀れ哀れと花子は、次郎父の公博氏に視線を向ける。


「何?」


「あなたは恋をしたことがないんですか?」


いいながら花子の脳裏に薫と桜の姿が浮かぶ。


「次郎君は私がいいって選んでくれたんです。あなたになんぞ私のこの素晴らしさなんてわかるわけないんです」


そう花子は世界の花子なのだ。塵芥の目が曇りまくった人間には、この花子の素晴らしいビュティフォーはわからないのだ。けっ


「ですがあなたのような義理父がいるようでは、幸せな結婚もできなさそうなので、次郎君はのしつけてくれてやります。いらんし。あ、手切れ金は欲しいです。」


「花子!ふざけんなっ裏切り者」とかなんとか次郎君が叫んでいる。


「そう君の良さはまったく俺にはわからないな。でもまぁいい。次郎と別れてくれるなら何でもいいよ」

公博さんは両手を組んで、にこにこと微笑む。

花子も上機嫌でニコニコと微笑んだ。


「でもそうですね。次郎君と別れるのに一つ条件があります?」


「なんだい?」


公博さんが花子のことを見る。花子は微笑んで言う。


「あなたの尻を叩かせてください」


「は?」


「あなたの尻を叩かせてくれたら、次郎君とはきっぱりさっぱりわかれます」


「ふざけるな」


「私は本気です。息子さんのためなら何でもするのではないですか?」


「断る。警察を呼ぶぞ」


「ご自由に。次郎君とは別れません。尻を叩くまではね。少しだけですから。優しくたたかせてください、あなたの尻を」


「出ていけ」


「大丈夫。痛くないですから」


「僕を敵に回すと、どうなると思っているんだい?」


「仕方ない。では私は自分のお尻お叩きますね。お尻ペンぺん」


花子は自らの尻を叩きながら、あっかんべーをしてみた。

青筋を浮かべている公博に、いい気味だと笑う。


「息子のために尻も差し出すこともできない、あれな父親のくせに私のことどうこう言おうなんて、ちゃんちゃらちゃららおかしいですね。ほほほ。まぁ、あなたはその程度。私のこの素晴らしさの前では、所詮あなたはその程度ということですね。花子ってかわいい。まぁ、あなたのような義理父は、私にはふさわしくないですね」


「ふーん。君のような人の素晴らしさは僕にはわからないな。教えてもらえるかい?」


「あなたにはわかりません。私のすばらしさは。まぁ、小さな尻穴を守ってせせこましいプライドを守って暮らしていくといいです。あ、あなたの息子さんおいていきますね」


「いいよ。僕の尻を叩くがいい。けれど君の尻も僕に叩かせてもらおうか?」


「親父!!」


次郎君が叫び声をあげて非難している。


「貴様には私のお尻はもったいない」


そういうと花子は途中で買い込んだ布団たたきを取り出し、公博のお尻を何回か叩いた。阿鼻叫喚で、そのあと花子は連行されて、警察にお世話になることとなった。

花子はなんだかすっきりした気分になったのでした。


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