↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰雪のベルクレア  作者: ラッキー中学生
ウェイン・騎士になる
PR
35/52

第34話 『ベルクレア騎士養成学校』

 

 目の前にそびえ立っていたのは、想像以上に巨大な建物だった。


 ベルクレア騎士養成学校。

 白を基調とした外壁。

 まとわりつくような金の装飾。

 尖ったアーチ窓。

 屋根の縁に添えられた古い紋章。


 ただの『学校』と呼ぶにはあまりにも立派で、厳格な空気を纏っているようだった。


 「.....」


 ここで騎士が育ち、国のために武器を持つものが王に仕えるのか。

 王の命令に絶対服従する、今の俺のように見えない首輪をつけられた『犬』どもが。


 そう思いながら、俺は黒鉄の腕を静かに見下ろした。


(本当に俺も、ここに通うのか...?)


 機骸にされ、声すら奪われたこの化け物がか?


「お前たちには、今日からここで学んでもらう」


 その声で、俺たちの視線がブレイブへと集まった。


「この学校には、刻(・)印(・)者(・)もいれば無(・)刻(・)印(・)者(・)もいる。貴族も平民も商家の子も、孤児もいる。ここで問われるのは、出自ではない」


 ブレイブは一度言葉を切った。

 そして、先ほどよりも大きな声で告げる。


「騎士として使えるかどうか、ただそれだけだ!」


 その言葉を浴びせられても、動揺を見せる者は誰一人いなかった。


「Aクラス。ブラッド!」


 呼ばれたのは、深紅の髪をした男。

 背の高い金縁眼鏡で、両手の甲から腕にかけて赤い包帯が巻かれており、まるで血に染まっているかのような不気味さを纏っていた。


「Bクラス。リネット!」


 次に呼ばれたのは、アイボリーの髪をした少女。


 長めのウェーブヘア。

 どことなく品があり、瞳が大きく、誰もが信じて疑わないような『お嬢様』の容姿。


 俺と同じ年頃の少女が、罪人としてここに連れてこられたとは到底思えないほど、整った顔立ちだ。


「Cクラス。ラハシア!」


 ポニーテールに結われた髪。

 くっきりとした目鼻立ち。

 この街では珍しい、俺と同じような暗めの髪色。


「Dクラス。ヴィオラ!」


 気怠そうに片目を開ける女。

 名を呼ばれ、鬱陶しそうに『チッ』と舌打ちをした。


 髪は菫色のショートヘアで、身長は俺やレストより少しだけ高いが、さっきの深紅髪の眼鏡よりは低かった。


「Eクラス。レスト! ...それとウェイン!」


 名を呼ばれた瞬間、レストが軽く眉を上げた。


「俺たち、一緒でいいんかよ!」


「ここへ来る道中、随分仲が良さそうだったからな。あと、この学校は五クラスまでしかないんだ」


「そんなら、しょうがねぇなぁ」


 レストは、おどけたように笑ってそう言った。


 冗談じゃない。

 イザヤと違い、こいつは平気で人を殺せる奴だぞ。


「それで、Eクラスの担当はこの人だ。元騎士で、今は騎士養成学校の教官を務めてもらっている」


 先ほどまで、ブレイブの横で一緒に歩いていた女。

 紹介された途端、その女が一歩前へ出た。


「シエロだ、よろしく頼む。この学校のことは私に聞け。ただし、聞けば何でも優しく教えてもらえると思うなよ。分からないことは、まず自分で調べるんだ」


 そう言われ、レストが小さく口をすぼめた。


「では、それぞれ移動しろ」


 そのブレイブの一言で、俺たち六人はバラバラに分かれていった。


 ブラッドは『Aクラス』へ。

 リネットは『Bクラス』へ。

 ラハシアは『Cクラス』へ。

 ヴィオラは『Dクラス』へ。


 そして、俺とレストはシエロの冷たい背中を追って、『Eクラス』へと歩き出した。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

図々しいお願いで恐縮ですが、評価やブックマークで応援いただけると、飛んで喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。