↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
要らない娘と呼ばれた私を、魔王は千年待っていたそうです ~捨てた公爵家は没落し、私は世界で一番幸せになりました~  作者: 蒼空ルーシェ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
66/84

第65話 家族の今後

 翌朝。


 応接間に、家族が、集まっていた。


 婚礼の準備の、合間の、家族会議。テーマは——婚礼後の、それぞれの、未来。


 ゼルヴァーンが、口を、開いた。


「皆さま」


「ええ」


「リーシェと、僕の、婚礼が、近づいた。婚礼が終わったら——皆さま、それぞれの、お役目を、もう一度、整理、いたしたい」


「ええ」


「クリストフ殿下」


「はい、陛下」


「殿下は、もうすぐ、国王に」


「父が——退位、を、決意、いたしました。私が、即位、いたします」


 応接間が、静まった。


「殿下」


 リーシェが、口を、開いた。


「即位、ですか」


「ええ。父は、半身の血を、隠して、母を、苦しめた罪を——退位という形で、引き受ける、と」


「ええ」


「私が、即位して——半身の血を、隠さない、世界を、作って、参ります」


「お母さまの、想いの、続き、ですね」


「ええ」


「ご立派です、殿下」


「ありがとうございます」



   ◇



「アルト」


 ゼルヴァーンが、隣の十二歳を、見た。


「は、はい」


「君は——」


「ぼく、グランハイドを、継ぐ、ご準備を、します。八年で」


「うん」


「魔王城の、図書館で、勉強、させて、もらえますか」


「ああ」


「ぼく、ハインツさんと、文字の、お勉強、したいです」


 ハインツが、頷いた。


「私、書庫長を、しながら、アルト様の、家庭教師も、いたします」


「ハインツさん」


「ええ。半身の血を、引いた者として、十二歳の、未来の公爵に——文字を、お教え、申し上げます」


「ありがとうございます」



   ◇



「リューシェさま」


 リーシェが、口を、開いた。


「ええ」


「あなたは、これから、どう、なされますか」


「私は——」


 リューシェが、長く、考えた。


「千年、無名の女王を、追って、生きてきました。お姉さまの、千年は、終わりました。私自身の、千年も、ここから、始まります」


「ええ」


「グランハイド領に、お戻りに、なるんですか」


「いえ」


「では、どこへ」


「世界を、旅して、参ります」


 応接間が、静まった。


「旅、ですか」


「ええ。千年、ずっと、無名の女王の影だけを、見て、世界を、歩いて、参りました。これからは——花が咲く、世界を、見たいです」


「ええ」


「ノエル」


「リューシェさま」


「あなたも、ご一緒に、参りませんか」


 ノエルの目が、見開かれた。


「私が、ですか」


「ええ。お姉さまの、面影を、追う、千年、で、はなく——あなた自身の、千年を、生きるために」


「リューシェさま」


「お互いの、千年を、お見守り、申し上げる、と、約束、いたしました」


「ええ」


「では、ご一緒に、世界を、お見守り、申し上げましょう」


 ノエルが、頷いた。深く。


「お供、いたします」


 ナディアが、隣で、息を、呑んだ。


「ノエル、お妹さま」


「ナディアおねえさま」


「お見送り、申し上げます」


「年に一度の、お祭りで、お会いしましょう」


「ええ」



   ◇



「では、皆さま、ご決断、なさいました」


 デミウルゴが、眼鏡を、直した。


「クリストフ殿下は、国王に。アルト様は、家督継承の、お勉強に。ハインツ様は、書庫長と、家庭教師に。リューシェ様と、ノエル様は、世界の旅に。フィン様は、すでに、ご隠居」


「ええ」


「では、魔王城に、残りますのは——陛下、半身さま、私、ナディア、で、ございます」


 ゼルヴァーンが、頷いた。


「デミウルゴ」


「はい」


「ナディア」


「はい」


「お前たちは、これから、どうする」


 二人が、目を、合わせた。


 長く、見つめあった。


 ナディアが、口を、開いた。


「陛下。私たちは、これからも、お側に」


「ああ」


「ただし——」


「ただし」


「私たち、二人で、お側に」


「ええ」


「二人で——」


 デミウルゴが、咳払いを、した。


「ナディア」


「ええ」


「お前は、明日、明後日、と、お話、申し上げると、お約束、いたしました」


「えっ」


「今日、で、よろしいですね」


「あら、もう、お話、なさいますか」


「お話、申し上げます」


 デミウルゴが、立ち上がった。


 応接間の、家族たちの前で。


 眼鏡を、外した。千年、お姉さまから賜った、眼鏡を、テーブルの上に、置いた。


「ナディア」


「ええ、デミウルゴさま」


「千年、お側で、お慕いして、参りました」


「ええ」


「私と、千年の続きを、ご一緒に、過ごして、いただけませんか」


 ナディアの目から、涙が、ぼろぼろ、落ちた。


 応接間の、誰もが、息を、止めて、見つめていた。


「デミウルゴさま」


「ええ」


「私も、千年、お側で——お慕い、申し上げて、おりました」


「ええ」


「お側に、いさせていただきます」


「ああ」


 二人の、千年仕えた者たちが、千年遅れの、お互いの、お慕いを、ようやく、声に、出した。


 応接間に、拍手が、満ちた。


 アルトが、いちばん、大きな、拍手を、していた。



   ◇



「千年お仕えしておりますが——」


 デミウルゴが、眼鏡を、もう一度、かけた。


「数えるな」


「これは、私自身の、記録でございます」


「ああ」


「お祝いの記録は、これからは、自分のことを、記録、いたします」


 ゼルヴァーンが、笑った。


 大食堂、ではなく、応接間に、笑い声が、満ちた。



   ◇



 夕方。


 月の庭園。


 ゼルヴァーンと、リーシェが、二人だけで、立っていた。


「リーシェ」


「ええ」


「家族の、皆さまの、未来が、決まったな」


「ええ」


「君と、僕の、未来は——婚礼の日に、決まる」


「ええ」


「あと、一週間」


「ええ」


「楽しみ、です」


「ああ」


 ゼルヴァーンが、リーシェの肩を、抱いた。


 月光の下で。

お読みいただきありがとうございます。


家族の、未来が、決まりました。


クリストフ殿下は、国王に。

アルト様は、グランハイド継承の、お勉強に。

ハインツ様は、書庫長と、家庭教師に。

リューシェ様と、ノエルは、世界の旅に。

フィン様は、ご隠居。

そして——

デミウルゴと、ナディアが、千年遅れの、お互いの、お慕いを、声に、出しました。


千年お仕えしておりますが——お祝いの記録は、これからは、ご自分の記録でございます。


次回、第66話「婚礼の前夜」。

婚礼の、前夜。

リーシェが、千年前のお姉さまの絵に、お会いに、なられます。


——千年遅れのお慕いに、思わず「よかった」と言った方。どうか、一押しを。

ブックマーク・評価・感想、何卒、お願いいたします。

眼鏡を外したデミウルゴと、ナディアに、☆ひとつ、お力添えを。


蒼空ルーシェ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。