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93.変わってしまった。

「お、おう」


司が熱くなっている蓮を見て少し引きながらあいずちをうった。


「やだ」

「なんか、あんた死ぬみたいだよ」


花が蓮の言い方に違和感を持った。


「その気持ちをもって俺はこの魔法陣に行く」


ドヤ顔で言ってのけた蓮だが


「やめてよ」

「私たちも死ぬことになるじゃん」


その通りだ。


「俺の心配はないのか?」


「...」


「おい!」


──────


「とりあえず俺は行くぞ」


言葉では強気な蓮だが

その右手には微かな揺れがみえた。


「、、、」


蓮が、魔法陣の前で立ちすくんで早5分


やはり最初に行くのはそれなりに勇気がいるのだろう。


だって、私たちは普通の高校生なのだから。


「じゃあ私が先に行こうかな」


また、前に出たのは陽葵だった。


「怖くないの?」


空が、問いかけた。


「怖いも何も」

「この魔法陣を使わなきゃ帰れないんでしょ」


陽葵は、当たり前のことだからと言うようだった。


「それに、もし自分が命を落としたとしても」


「陽葵!」


陽葵が何かを話そうとした時司が止めた。


気のせいだろうか


司の目が潤んでいたのは。


「あっ、ごめん」

「早く帰りたくて」

「マイナスな発言しちゃった」


えへへと笑いながら陽葵が言った。


「そうだよね」

「みんなで帰って桜とか色んな約束したもんね!」


陽葵は、笑顔で言った。


「そうだよ。」


ようやく、司がホッとした顔をした。


「陽葵ありがとう」

「俺、行くわ!」


蓮は、

さっきの必死さで出していた勇気ではない。

陽葵のなんとかなる精神に背中を押されたのか

笑顔で魔法陣の上に飛び乗った。


「じゃあ先に帰ってるぞ!」


蓮は、みんなに手を振った。


そのとき、


ぽわん


シュッ


魔法陣は、眩く光った。

その後、蓮の姿は消えた。


「こんな、感じなんだね」


第三者目線から見たのが初めてだった。


元の世界では有り得なかった。

転移。

この世界では、珍しいけれど存在はする。


「早く慎さんのところ戻りたいよぉ」


「てかさ、私たち」

「戻りたい場所の1つに」

「あの地下の部屋があるって」


「最初は、元の世界にってだけだったのに」

「意外と今の暮らしも苦ではないからかな」


「私たち変わったね」


でも、その感情に浸る時間は私たちはない。

その時間が来るのは


私たちが、この世界にきた理由


―元いた世界の平和を守るために

この国の王を倒す


それが達成するまでだ。


「じゃあ帰ろっか」


みんなは、恐れることなく


魔法陣の方へと向かった。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。

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