87.色の着いた花が咲く大きな木とは、
「―動物魔法」
「獣心術」
柚の耳がぽわっと光った。
動物魔法をかけた魔獣は、さっきみんなが可愛いと言っていたミコーラだ。
ミコーラは、観察力と危険察知能力が、
低級魔獣の中では飛び抜けて高い。
だから、話を聞くには最適な魔獣なのだ。
「初めまして」
柚は、ミコーラの警戒心を少しでも解くために少し離れたところから話しかけた。
「キューッキューン」
トットッ
ミコーラは、完全に警戒心を解いたみたいで柚の方へと自ら歩き近づいてきた。
「少し聞きたいことがあるんだけど」
柚は、優しい声で言った。
「この森の中で色のついた花が咲く大きな木は、ない?」
ミコーラは、柚の言葉を聞いて考えた。
「キュッ、キュッ」
ミコーラは、何かを一生懸命教えてくれた。
魔獣の言葉は残念ながら動物魔法が使える柚にしか分からない。
「柚なんて言ったの?」
陽葵が、聞いた。
「この森にその木がなり場所なら数箇所あるって」
「本当!」
それは、希望の生まれた瞬間だ。
「その中でも、一番大きな木は、」
「この森の中心」
てっきり、沢山この森の中を歩きたからここら辺中心部だと思っていた。
「そして、ここから2時間は最低でもかかるって言ってるよ」
身軽ならミコーラ、2時間で着くだろう。
でも、こっちは高校三年生が26人だ。
そして、さっきまでドラゴンと戦っていたから疲れている。
一体何時間かかるのだろうか。
「でも、行くしかないよね」
きっと、ミコーラの言うその木がこの森で唯一帰れる魔法陣がある木だ。
「ありがとう」
柚は、ミコーラにお礼をした。
「キュー」
ミコーラは、森の中へと帰っていった。
「すごいな柚の魔法!」
健一は、感動しながら言った。
「そんなことないよ」
「攻撃とかもできないし」
「さっきのドラゴンの戦いだって」
「僕は攻撃魔法じゃないから全然役に立たなかったし」
柚は、たまに自分のことを貶す癖がある。
きっと、本気を出せば魔獣を使って人間と戦うこともできるだろう。
でも、魔獣の殆どは生きるための理由以外で戦うことはあまり好まない。
そして、その事を知っている柚もそんなことで魔法を使うなどしなく無いはずだ。
「でも、柚のお陰で今回みんなが助かったんだ。」
「柚は十分にすごいと思うぞ」
「...悟君」
「おっ!」
「今俺のことを悟と呼ばなかったか?」
「ち、ちがうよ!」
柚は照れるのを隠すようにミコーラの指示の方向に進んで行った。
「まってよ!」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




