83.一体誰がこんな魔法を〜伝説のドラゴンは、〜
ヒュンッ
「グハァッ」
どこからか飛んできた弓矢の音のようなものが
ドラゴンの胸に刺さった。
何をしても歯が立たなかったあのドラゴンの身体をあっさりと貫いた。
一体誰だ、
「...司か!」
そうか、司なら確かにドラゴンでも、通じる魔法が使えるかもしれない。
そして、あの弓は風からできていた。
司の使える3つの魔法の中で風魔法があった。
でも、司は今蓮が、あげた辛いヴリトアフルーツを食べたせいで寝込んでいるはずでは?
陽葵が言っていた話だと。
──────
「司、起きないね?」
花が心配そうに司を見つめていた。
司が倒れてから早い30分は経つだろう。
だが、司は起きる気配がしない。
「司は、本当に辛いものがダメだからね」
「体に、辛味が一切なくなるまで起きないから」
「それってつまり」
「多分今日はもう起きないね」
「うそぉ」
──────
ということだった。
でも、さすがにこんなにうるさく物音を立てていたから起きてくれたのだろうか。
「司?」
魔法が発せられた方向を見ても暗くて人がいるのかも分からない。
確か、あの方向には、ひn
「...風魔法」
「――裂風獄」
そう聞こえた瞬間に
ドラゴンの周りをさっきまで穏やかに吹いていた風が顔を変えたかのように乱暴にドラゴンへぶつかっている。
その風は、手を取り合い1つの大きな竜巻に姿を変えドラゴンを食らった。
「ぎゅぁぁぁぁ」
ドラゴンの叫び声。
そして、竜巻に混ざり合う赤色。
程なくして、ドラゴンの叫び声は消えた。
シュンッ
風は、仕事を終えたのか
また、穏やかな風に変わった。
バッタン
竜巻の中から出てきたドラゴンは、目を背けたくなるような姿だった。
あんなに硬かった鱗には無数の傷そこから垂れ流れる血。
ドラゴンの目にはもう、光はなかった。
一体こんなことができる人は誰なのか
そういえば、今度ははっきりと魔法を唱える声が聞こえた。
その声は、司のような男の人の声ではなく女の人の声。
そう、
「...陽葵?」
いつものような明るく元気な声とは、考えられないほど落ち着いていや、冷たくまるで感情がないそんな声だった。
「何言ってんだよ花」
「陽葵は、魔法が使えないはずだろ?」
そうだよ、
透の言う通り陽葵は、楓のように魔法が使えないはず、
いや、陽葵の場合はステータスのバグで使わないようにしていただけで本当は使えてたのかもしれない。
「それに、初心者があんなすごい」
「魔法が使えるはずがないだろ!」
花や魔法が得意な蛍でさえ負けたのだ。
魔法が使えなかった初心者の陽葵が使えない。
ガサガサ
「、!!」
草を雑に踏むような足音が近づいてくる
一体誰だ?
森の中から出てきたのは人だった。
黒髪の、何故かいつもとは雰囲気が違う。
女の子
「やっぱり」
「――陽葵だわ。」
「...」
陽葵の目に光は一切なかった。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




