79.陽葵でも知らなかったこと
「本当なのかよ」
「なんでまだ疑ってるんだよ」
陽葵は、優柔不断な蓮に痺れを切らしていた。
「だって司は、陽葵にだけだろ。」
「はァ!?」
ビクッ、
蓮は、あまりの陽葵の大きな声に驚いていた。
「どうしたのよ」
花も驚きながら聞いた。
「司が私にだけ?」
「なわけないじゃん」
いやあるだろう。
思わずツッコミを入れたくなってしまった。
陽葵は、気づいていないだけなのだろうか。
司は、明らかに陽葵にだけ態度が違う。
空も言った。
「陽葵は、司の昔のことよく知ってるじゃん」
「それが証拠だよ。」
「私だって司の知らないこと沢山あるよ。」
「この前話してくれた司の家族のこと」
「あんな詳しく教えてくれなかった。」
陽葵は、少し悲しそうに言った。
「陽葵、」
花もそのことを察したのだろう。
「だから、」
「えぇん、自分は司に嫌われてるよぉえぇん」
「って思わなくていいんだよ」
陽葵は、蓮のことをバカにするように言った。
「そんなこと言ってぇよ!!」
蓮は、顔を真っ赤にしながら言った。
「でもさ、司本当に起きないね。」
柚が、うなされながら眠る司を見ながら言った。
「司は、多分今日1日起きないと思うよ」
陽葵も、司を見ながら言った。
「まじかよ、」
透が心配そうに言った。
「だから、今日はもう進まない方がいいね。」
「そうだね、司がいないのは危険すぎるし。」
陽葵と、蛍は、このB組で1番の戦力である司が眠ったままでは。
さすがにBランク以下の魔獣しか居ないこの森でも命の保証はできないだろう。
それに、ここにはさっきみんなで魔獣を倒したから周りに魔獣の気配もない。
ここほど安全な場所はないだろう。
「じゃあ、木の枝とか集めなきゃな」
直人が焚き火の準備をした。
──────
パチパチ、
パチッ
「あったけぇ」
「なんかキャンプみたいだね、」
「たしかに」
みんなは笑っていた。
空には数えきれない星々が広がっていた。
その空だけは異世界にいながら不思議と懐かしい気持ちになった。
「元の世界に帰ったらみんなで星空を眺めたいね!」
「それいいな!」
「じゃあ約束だね!」
陽葵たちは、約束を交わした。
このまま、静かな夜を過ごして眠れる。
この時間だけは異世界であることを忘れられる
と、
思っていた。
「きゃぁぁぁ」
暗闇の森の中であいつを見てしまうまでは
ここまで読んでくださってありがとうございます。
投稿時間が遅くなり申し訳ありませんでした。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




