78.素直にはなれない
「か、辛い」
バタンッ
「つかさぁぁ、」
今何が起きたかというと、
ヴリトアフルーツのあまりの辛さに耐えられなかった司が意識を失い倒れてしまったのだ。
そして、未だに1人だけ状況を掴めてない陽葵が焦って寝ている司の腕をバンバンと叩いていた。
「い、痛い...」
微かに残る意識で司はそう言い残しそのまま眠ってしまった。
「司?」
「どこが痛いの?」
バンバンッ
「ねぇ?」
バンバンッ
「あの、」
「陽葵さんや多分それじゃない?」
未来が、司のことを強く叩く陽葵の手を指さしながら言った。
「あっ、」
「ごめん司」
陽葵は、叩く手を止めて眠る司に謝った。
「でも、どうしてこんなことに?」
「実はね」
──────
「―てことがあって」
花は、一通りのことを陽葵に話した。
「じゃあそれが」
「ヴリトアフルーツ」
「そう、それがあの」
「あの?」
未来は、陽葵の言い方に引っかかり聞いた。
「実はね、昔司に聞いた話なんだけど」
「そのヴリトアフルーツね」
「司が1番苦手な果物なんだって」
陽葵が、くすくす笑いながら言った。
昔からということはつまり
「じゃあ司はこれが辛いこと知ってたのかよ...」
蓮が、まさか知っていたとは考えもしていなかったのだろう。
「知ってなかったら司は食べないと思うよ」
陽葵は、蓮に言った。
「王族でしかも嫌われ者の勇者様だもん」
「自分の知らない食べ物ホイホイ食べてたら」
「命がいくつあっても足りないよ」
陽葵は、いつもの明るい調子で言った。
「じゃあなんで食べたんだよ」
蓮は、司が知っていた上で食べた理由が分からなかった。
「蓮に謝りたかったんじゃない?」
「知らないけどね」と付け加えながら言った。
「そんなわけないだろ」
「司はいつでも俺たちのこと馬鹿にしてただろ。」
「そうだね」
陽葵は、否定をしなかった。
「でも、それはきっと」
「みんなのことが大切だからだよ。」
「大切?」
「うん、」
「昔司が聞かせてくれたことが」
―「俺は、見込んだやつしか厳しくない」
「って、」
陽葵の一言に蓮は、驚いていた。
「そんな、あいつがそんなこというなんて。」
「ここからは、私の想像だけど」
「これからきっと血が流れるような戦いにもなる。」
血が流れる、その言葉が、近づいていることがみんなの気持ちをゾッとさせた。
「司は、誰一人として失いたくないと思ってるはず、」
「だから、みんなに嫌われても厳しくし続けるんじゃない。」
「ごめんね」
「なんで、陽葵が謝るのよ?」
「あは、ほんとだね」
「じゃあ司は、」
「素直になれないんだよ」
陽葵は、司の顔を見ながら言った。
「ま、もう少しみんなと仲良くして欲しいけどね」
「陽葵お母さんみたいだよ」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




