70.お金持ちだからといって幸せとは限らない。
「お姉ちゃん!」
「陸!」
花の家族には、定期的に会いに行っている。
花は、王に勝つためにあまり家族に会う時間を作れないと言っていたが
家族との時間は、絶対に取り返すことができないと言って少し強制的に行かせるようにさせている。
「こんにちは、」
恋歌が、花の家族に挨拶した。
「お姉ちゃんのお友達?」
陸が首を傾げながら言った。
「恋歌と申します。」
恋歌は、丁寧に一礼した。
「この姉ちゃんも貴族なのか?」
あまりの凛とした態度を取る恋歌に陸が少し嫌味混じりに言った。
そういえば、花たちがこの場所に住んでいる理由にこの国の貴族も少しばかり関わりがあるのだろう。
「こら、陸」
花が、陸を叱った。
「いいのよ」
「私たちの住む国では、貴族というものはないのです。」
「でも、そうですね」
恋歌は、言葉を選んで言った。
「お金には困ったことはありませんでしたね。」
それは、言葉を選んだのだろうか?
「へぇ、」
陸も少し引いたように言った。
でも、お金にはとまるで他のものには困ったことがあるような言い方だ。
「その他に困ったことがあんのかよ」
ずっと隣にいた律が聞いた。
「あっ、ちょっと律」
花がそれは、聞いてはいけないような気配を感じたのかとめた。
「そうですね」
「恋歌!?」
「別に、話さなくていいのよ?」
花が止めたが恋歌が「別にいいのよ」と言ったので話続けてもらうことにした。
「私の両親が起業をしまして」
「そして、その起業が成功しました。」
「そのため私は、幼少期から自分で認めるほどにはお金を持っていました。」
ここまで、聞いてもやはりお金持ちはいいよなとしか思わなかった。
「ですが、両親はお仕事がお忙しいようで」
「私は、大きな家にずっとひとりぼっちでした。」
「きっと、私の両親は私の苦手な食べ物も好きな食べ物も知らないでしょう」
そう話す恋歌の顔は、寂しさでいっぱいだった。
「そうだね」
陽葵は、恋歌の話を聞きながらあいずちをうった。
「だから、私は、少し花のご家族の仲の良さに嫉妬しています。」
恋歌が、優しく微笑んだ。
「貴族でも、世界が違うだけでこんなにも変わるんだな。」
「さっきは、悪かった」
陸が、さっきまでの自分の態度に反省しながら言った。
「いえ、全然気にしていません」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




