50.いただきます。〜絵本の主人公の女の子〜
「いただきます。」
人数分のお皿と、いつものと同じご飯を並べてみんなは、パチンと両手を合わせて言った。
「やっぱ美味いよな」
蓮は、サモイ芋を凝視しながら言った。
このサモイ芋は、不思議なことにいくら食べても美味しいと思う。飽きることは飽きるが。
「ほんとよね」
「なぜなのかしら?」
恋歌も、思っていたようだ。
恋歌は、転生する前はいいご飯を沢山食べてきただろうに、それでも美味しいと思わせるのは...
「恐るべし」
「サモイ芋」
──────
「あっ!」
空が、何かを思い出したように慎さんの方をみながら声を発した。
「どうしたんですか?」
「私、一つだけ疑問だったんですけど」
「慎さんは、なぜ」
「幻想の面を持ってたんですか?」
みんなは、何故それを疑問に思ったのか最初は分からなかった。
「あれって、高級品なんですよね?」
幻想の面は、魔法石をふんだんに使って作っている。そして、その魔法石は、スライムのような低級魔物ではないだろう。
「あっ」
「別に慎さんが買えないとは思ってないです。」
空は、自分の言い方に語弊があることに気づき訂正をした。
「いや、」
「確かにそうですね。」
慎さんは、食べるのをやめて話してくれた。
「あれは、頂き物なんです。」
誰からですか?と聞きたかったが、きっと私たちの知らない人だろう。
「なるほど」
空は、疑問が溶けたように「ありがとうございました。」と言った。
「でも、」
「幻想の面みたいな魔法があったらな」
直人が想像しながら言った。
「確かにそうですね」
「いたら良かったのですが」
慎さんの声はいつもより冷たく感じたのは気のせいだったろうか。
「...」
──────
「そういえば俺もあったんだよね」
「疑問」
空に便乗した健一が言った。
「前俺たちがいたさ家にあった絵本」
「あの主人公の子」
「光が現れなかったって」
「あっ!」
陽葵は、健一の話を聞いて自室に何故か駆け込んだ。
「この絵本?」
陽葵は、自室に入ってから少し経ってから出できた。その手には、置いてきたはずの絵本があった。
「なんで持ってるの?」
花が、驚いたように言った。
「いやぁ」
「なんか大切かなって思って」
「逃げる時持ってきた。」
「えへへ」と頭を掻きながら言った。
あの時、みんなが逃げている中陽葵が一瞬引き返したのこの絵本を取るためだったのか。
「で、この絵本が?」
陽葵は、健一の話に戻した。
「あぁ」
「この絵本魔法が使えない女の子が主人公だから」
「なんかさ、」
...
健一は、一拍置いた。
「悲しいよな」
ずこぉぉぉ
そこまで貯めるようなことだろうか?
確かに悲しい、でも、そんなに貯めるか?
でも、確かになぜ主人公の女の子をわざわざ魔法が使えない設定にしたのだろうか...
―その子はもしこの世界にいたらどうなっていたのだろうか。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




