44.何も出来ない無力さ〜濡れていても構わない〜
「ごめんなさい」
何も出来ない。
自分の無力さ。
ただ謝ることしか出来なかった。
「なんで謝るんですか?」
「あなたたちがやった訳では無いのでしょう?」
花のお母さんの優しい声がかえって辛かった。
「くそっ、」
後ろから律の悔しいそうな声が聞こえた。
このままなにもできないのだろうか。
「それよりも、」
「あっちの世界で花はどんなことをしてたの?」
「聞かせてちょうだい。」
きっと花のお母さんは、自分のことよりも花の子との方が大切なのだろう。
「...」
「花さんはとっても頭がいいので」
「よく勉強を教えて貰ってました。」
陽葵は、そのことを察したらしく明るく言った。
陽葵は、テストの前だけでなく授業のあと分からないところを花によく聞いていた。
そういえばどうして花は、あんなにも勉強ができたのだろうか?
「自分でできねぇのかよ」
律は、どうやら陽葵に対しても敵対意識を向けているようだった。
「...あ”ぁ”!?」
司は、殺気を出しながら律を睨んだ。
「なんだよお前ら」
「あっ、もしかしてできてんの?」
律は、にやにやしながら言った。
「..律?」
花は、静かに怒った。
律は、ごめんと小さく花に謝った。
―さすがお姉ちゃん
「私も!」
「お裁縫が苦手で花に助けてもらったことあります!!」
夢描も、陽葵と同じように花に助けてもらったことを話した。
「そう、」
「良かった、、、」
花のお母さんは、この4年間どんな思いで花を待ち続けたのだろうか。
自分の足で歩くことも大勢に助けを求めることもできなかったろう。
「ありがとうね」
「花のお友達になってくれて。」
今まで聞いた中で一番優しい声。
「こちらこそです。」
──────
パタン
花のお母さんは、少し疲れてしまったらしくみんなは、休んでもらうため部屋を出た。
「花のお母さん優しい方だね」
陽葵は、花に言った。
「ありがとう」
花も、笑顔で答えた。
──────
どれぐらいの時間がたったか、
みんながそろそろ帰ろうとした時
ガチャッ
「ただいまぁ」
「雨ひでぇ」
玄関から扉が開く音がした。
どうやら、花のもう1人の弟が帰ってきたようだった。
ドンッ
「えっ?」
「姉ちゃん?」
弟は、手に持っていた紙で包まれたものが手から滑り落ちた。
「おかえり、」
「陸」
花は、陸という弟に静かにハグをした。
陸も、優しかく抱きしめた。
「って、」
「俺濡れてるから姉ちゃんまで濡れる」
陸は、泣いているのを誤魔化すように花から離れた。
「平気よ。」
「てか、まって」
「雨降ってるの?」
そう言えば陸は、家に入ってくる時雨と言っていた。
「帰れねぇ」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




