43.治らない傷
3つの部屋のうち何の部屋か分からない奥の部屋から女の人の声が聞こえた。
「お、お母さん?」
花は、少し焦ったようにその部屋へと駆け足で向かった。
―ガチャっ
震える手で扉を開けた。
花は、ドアを開けっ放しにしていた。
ドアの隙間から見えたのはひとつのベッドだった。
そのベッドに誰かが寝ていた。
きっと花のお母さんなのだろう。
千国王にむち打ちをされた。
「お母さん、お母さん」
花のすすり泣く声がこの小さな家の中に響いた。
「花、おかえり、」
その声は暖かく関係の無い陽葵達も目に涙を浮かべた。
「初めまして。」
「異世界から来ました、陽葵と申します。」
陽葵は、部屋には入らず。
ドアの前で花のお母さんにお辞儀をした。
陽葵に続いて夢描なども自分の名前を花のお母さんに言った。
「初めまして」
「ごめんなさいねこんな格好で」
花のお母さんは、優しく微笑でくれた。
だが、その顔の頬には、肉がなくやせ細っていた。それに反して、花の弟たちは平均的に見れば痩せているがちゃんと肉が付いていた。きっと、お母さんは自分のご飯を子供たちに渡していたのだろう。
「お母さんの傷が治るかもしれないから、来てもらったの。」
花は、今まで見せてこなかった子供の顔をしていた。
「えっ、と」
りかは、大任務を課せられているようで少し困っていた。
花は、この家に来る途中に話していた。治癒魔法を使えるものはこの国に、少ないがいるそうだ。だが、治療を受けるのには多額のお金と地位が必要なのだ。
花には、両方とも持っていない。
もしかしたら、という少しの希望をかけていた。
「失礼します。」
「どうぞ」
陽葵は、部屋に入ることに許可を得てから入った。りかも続けて入った。
司は、部屋に入ることに躊躇していた。
きっと、花のお母さんをこんなことにした関係のある王族だからだろう。
「龍真様もお入りください。」
花のお母さんは、さっき陽葵達に向けていたような優しい笑みを向けてくれた。
「っ、失礼します。」
司は、少し俯きながら部屋へと入っていった。
──────
「これは、」
「無理だな」
花のお母さんのむちで打たれた足を見せてもらった。
その足は想像をしていたよりも、跡が酷く残っていた。無惨に打たれた多くの傷。
「なんで、何年もたっているのに消えてないの?」
りかは、傷をあまり見ないように司に質問をした。
「ここに見える黒い傷跡。」
「これが国王の魔法、呪だ。」
呪魔法それは、楓と同じ魔法。
だが、こんなに禍々しさ。
楓が、呪魔法を使えないことがこんなにも安心できたのは初めてだった。
「この呪は、かけた本人」
「あるいは、同じ呪魔法を使えるもの。」
「そして、光魔法を使えるもののどれかだ。」
この中でいちばん可能性があるのが楓だろうが...
今のままだと可能性は低いかもしれない。
「いいのですよ」
花のお母さんは、気にしていませんよっとやっぱり優しく微笑だ。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




