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39.花

「もういいよ」

「花」


いつものような元気じゃない声。

どこか怒っているような。

苦しいような。

言葉では表現のできない思いが詰まっている気がした。


「えっ?」


花もいきなりの陽葵の声に目を見開いた。


「みんなで帰るためにもさ、」

「ねっ?」


花は、やはりどこかいつもと違う。


、、、

一瞬も沈黙の後


「本当の目的は違うよね。」


本当の目的?

何を言っているのかよく分からなかったが、花だけは心当たりがあるのか少し後ろへと足を出した。


「な、なんのこと?」


花は、少し焦りを隠すように笑った。


「花も司と同じように――」


陽葵は、言うか言わないか悩んだあと言った。


「こっちの世界の人でしょ」


「えっ?」陽葵から出たあまりにも衝撃的な言葉にみんなは唖然とした。


「証拠でもあるの?」


花は、少し怒りを混ぜたような冷たい言い方をしていた。


「....」


答えない陽葵を見て花は鼻で笑って


「...ふっ、ないの?」


「最初、」

「森で魔獣に襲われた時」

「なんで魔獣の弱点が()()()()()だと知ってたの?」


「っ、本に書いてあったでしょ?」


いや、

――書いていなかった。あの時確認した。

花もそれは、知っているだろう。


「それに」

「元居た家で夜外に出て行ったのもの」

「地下で魔力を暴走させたのもわざとだよね?」


最初に地下で花だけ魔力が暴走した。

この前言った通り初心者は無意識に魔力を抑えてしまう。つまりあの暴走は花の意思でしたということ。


「なるほどな」

「だから、家の場所がバレるのが早かったんだな。」


司は、陽葵が出した根拠に納得していた。


「どういうことだよ」


蓮は、司の言い方に追いつけていなかった。


「何故夜に1人で出かけたのか」


司は、一拍置いた後。

冷たく言い放った。


「――魔法を使うためだろ」


魔法は、魔力を使う。その揺らぎは見つかりやすい。何より人間が少ない森では〝見つけてください〟と言っているようなものだろう


空が震える声で言った。


「花は、騎士団に捕まりたかったの?」


そうなるだろ。


「っ、」


花は、自分の唇を強く噛んだ。唇が血が出るほど強く。


「えぇ」

「そうよ」


花は全てを諦めたように言った。


「なんでそんなこと。」


空は、みんなを巻き込んだ、花の行動に疑問を抱いた。


「今日市場でいたのは弟さん?」


陽葵は、悲しそうに小さい声で言った。


「そうよ」


市場で花が1度止まった時に花が見ていたのは転んだ子供じゃなかった。

――実の弟だったのだ。


「私の家族は」

「お母さん、妹、2人の弟。」


花は、そう言ったあと少し言葉に詰まっていた。


「千国王は、自分の思い通りにいかないと」

「その国民を罰する」


その瞬間空気が重くなるのを感じた。


「私の家族も例外じゃなかった。」


その後、花はゆっくりと家族について教えてくれた。


妹が、千国王が街に降りてきた時、嬉しさのあまり千国王の近くに近づいてしまった。

その時、小さな手で千国王の服に触ってしまった。


――ただそれだけ


母は一生歩けないように何度も何度も足をムチで打たれた。

お父さんのいなかった花の家族は1番上の花が家族を支えていた。


「森で魔石を取りに行った時」

「謎の光が目の前に現れて」

「気づけばあっちの世界に来てた」


予想していた以上に辛い過去を花は持っていた。


「騎士団に近づけば王にも近づける」


花の中には、復讐そのひとつしかなかった。


「それなら尚更」

「今、焦ることないんじゃない?」


陽葵は、出来る限り優しく花に話しかけているように感じた。


だが、花はそう感じなかったらしい。

掠れた声で


「陽葵には分からないよね」

「家族が目の前苦しんでるのに」

()()()()()()()()()()


「...」

「じゃあ行こう」



ここまで読んでくださってありがとうございます。次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。

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