254.司の勇者になるまでの過去
親父が死んで俺が勇者に選ばれて1ヶ月が経った頃。
「はっ、はっ!」
毎日手の豆が潰れるほどひたすらに剣を振っていた。
「勇者様もっと腰に力を!」
知らない大人にそんなことばっか言われる毎日
──────
「今の勇者様も前のみたいにねぇ、」
「ほんと、」
「不安だわ」
「ちっ、」
「お前らに何が分かんだよ。」
影で悪口を言っているつもりか知らないが聞こえてくる言葉。
もちろん城の中にいるもののほとんどが貴族だ。
その中で平民出身の俺の事をよく思わない奴らも居た。
6歳の子供にしては腐りすぎた性格だと今なら分かる。
だが、頼れる者が周りにいない中で疑い続けることが1番楽だった。
──────
「まだまだですよ!」
「勇者様ならもっと強くなければ!」
「今回はこの国の歴史について」
「勇者様ならこれくらいできて当然です。」
1年の月日が流れ
日に日に増える課題と膨らむ期待に押しつぶされそうになっていき、俺はサボるようになっていた。
「勇者様ー?」
「ふっ、」
「こんなことやってられっかよ」
サボる時は決まって城の中を探検していた。
外にはあまり出たことがなかったし
外に出るとかあさんに会いたくなってしまうから
できるだけ中で過ごした。
「なんで、城ってつまんねぇんだろうな。」
その日もいつも通り城を一人出歩いていたんだ。
その時は何となく行ったことないところに行ってみたくなった。
だから、見つかるかもしれないと思って
近づかなかった、パーティ?が行われる場所に行った。
──────
ーガチャッ
「うわ、」
「なんだよここ」
「無駄に広くねぇか?」
城の中は自分の家に比べたら
デカすぎて最初は驚いたけど
ここは、どこもかしこも冷たかった。
だから、ここに何があっても驚かないと思ってた。
「あ?」
「この扉の向こう真っ暗じゃねか」
その時、部屋の一番奥のドアを開けた。
でも、自分が開けたドアの隙間から漏れる光以外にその部屋を照らすものはなく暗かった。
「階段?」
こんな所に階段なんてあったのか。
調べ尽くしたと思っていたがもしかしたらこの城には地下があるのかもしれない。
久しぶりに気分が乗り俺は深く考えず階段を降りた。
「寒っ、」
「しかも、薄暗い。」
季節もあるだろうが地下へ行けば行くほど気温が下がり長袖を着ていても寒いと感じるほどだった。
「なんだこれ?」
「牢屋か?」
ある程度降りてきて
階に着くと長い廊下の左右には薄汚れた牢屋が何個も並んでいた。
「誰もいねぇのかよ」
だが、牢屋の中には1人も入ってなかった。
だから、俺はもう使っていないのだと思った。
「ガチャン」
「誰だ?」
「あなたこそ誰ですか?」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




