253.すれ違い
「...」
さっきまで、叫び声と打撃音が響いていたが今しない。
「どうやら終わったようですね。」
海は、そう言った瞬間
-キィィィ
扉が開いた。
「なんだ、」
「待ってたのかお前やら」
司は、海立ちを見た瞬間そう言った。
よく見ると司の拳は血が垂れていた。
「派手にやったようですね。」
「おい、大丈夫かおまえ」
海とともに待っていた兵が
司と中に入った兵に声をかけていた。
「...」
「コクコク」
だが、その兵は声を発すことなくただ頷いた。
「なんだ、あんなんで弱ってんのか?」
「邪魔だからどっかに行ってろ」
司は、冷たく言い放ち
兵は力の入らない足で出ていった。
「一応死んでいないか確認させていただきますね。」
海は、牢屋の近くまで歩いた。
「おや、」
「これは、凄いですね。」
そこで見たのは、息はしているが
顔や肘、足に至る所にアザがあり見るに堪えない姿だった。微かに、痛みに耐えるために声を漏らしていた。
「お前ら、司に何したんだ!」
その中で唯一話すことができた陽葵が、言い放った。
「ここまで来て勇者様を信じるとは」
「あなたたち本当に馬鹿ですね。」
「ふ、バカはどっちかな。」
「その発言聞かなかったことにしてあげます。」
「でも、」
「そんなことを言えるは今のうちですよ。」
海は、陽葵を睨みつけて言った。
「さぁ、行きますよ。」
海は、出口へ歩いた。
「絶対にお前らを許さない!」
「そして、司!必ず助けるから!!」
陽葵が、そう叫んでも司はこちらを向かず出ていってしまった。
「司、」
「...」
──────
「それでは、私たちは仕事があるので戻ります。」
「ああ」
「忘れないでくださいね。」
「あなたが不審な動きを見せた瞬間」
「あのお話はなくなりますから。」
「分かってるよ」
司の言葉を聞いて海は、不気味な笑みを浮かべ
「なら良かったです。」
とだけ言った。
海たちの姿が見えなくなってから
司もゆっくりと歩いた。
そして、陽葵が昔捕まっていた牢屋の前に立ち止まった。
「懐かしいな。」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




