249.帰れるとしたらみんなはどうする?
「さっ!」
「行きますか!」
翌日、陽葵は張り切った声で扉のドアノブを握った。
「いやいや」
「早いわ」
それを見ていた蓮が、すかさずツッコミを入れた。
「えっ?」
「えっ?」
「じゃねぇよ!」
「昨日話したばっかだろ?」
「それに、そんなに焦らなくてもみたいな感じのこと言ってたじゃねぇかよ!」
「?」
陽葵は、首を傾げながら不思議そうに蓮を見た。
「えっ、」
「これ、俺がおかしいのか?」
そんな陽葵を見て蓮は一瞬不安そうな顔を見せた。
「いや、」
「私も嫌だけど蓮と同じ意見だよ。」
花は、静かにそう言った。
「一言一言」
蓮は、もういじられてるすぎて笑って言った。
「ごめん。」
「でも、今日の方がいいかなって」
「まぁ、そうだね。」
陽葵の意見に乗っかったのは
珍しいことに瑞稀だった。
「あのこともあるし今日じゃなきゃ城の中に入れないと思う。」
瑞稀は、2人にそう言った。
「もう、分かったよ」
「心の準備はなんもできてないけど!」
花は、勢い任せで言い放った。
そうして、十人は翡翠の玉を城から取り戻すために出かけた。
「行ってらっしゃい」
──────
今回、城に行くのは計十人だ。
陽葵、司、花、蓮、瑞稀、恋歌、健一、蛍、直人、楓。
少人数の方が城の中を歩き回るにはちょうどいい。
しかし、何故か司は10人以上で行くと話を聞かなかった。
「空間魔法、見つかってないかな。」
花は、そんなことを心配していた。
今回の入口は前回、司を奪還した時に使われた
エレベーターのような空間魔法だ。
「大丈夫だと思うよ。」
「私の幻想魔法が上手く隠してると思うから。
「しっかし、」
「また城に行かなきゃいけないとか」
「胃がキリキリすんだけど」
蓮は、そういいながらお腹をさすった。
「そうだね。」
陽葵は、言葉を繋げようとはせず
ただ、静かに頷いた。
今回は、2回目の侵入もちろん
前に比べて警戒も強まっているはず。
一筋縄では行かないとこも承知の上。
だから、今回みんなは緊張していた。
「みんな、」
「ごめんね。」
「?」
「なんで陽葵はいきなり謝んだよ」
「だって、」
「ここに来る前のみんなは、」
「高校三年生」
「今そこから2年と少しが経過してるから」
「本当だったら、大学や専門、就職とか」
「色んな道に進んで」
「色んな思い出を作ったはずなのに」
「はぁ、」
「なんでお前はそんな話何回もして飽きねぇのか?」
蓮は、心の底から呆れた顔で言った。
「確かに私たちは、こちらの世界に連れて込まれた」
「訳でございますが、結果的に」
「私たち世界に関係があったのですよ。」
「でも、もし帰れるかもしれないとしたら」
「みんなは今すぐにでも帰りたいでしょ?」
恋歌の言葉も虚しいことに届かなかった。
陽葵は、またマイナス思考に走ってしまう。
「そん時はそん時だろ。」
「ただ、帰るにしろ帰らないしろ」
「それを選んだのが自分なら」
「陽葵のせいではないと思う。」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




