240.決定している勝敗
「自分の生命って、」
「じゃあその奇跡を使えば使うほど」
「はい」
「生命が削れ最後には死にます。」
生命は、魔力と違って回復がない。
だから、少し待て大丈夫とではないから
本当に使い続ければいつかは終わりが来てしまうのか。
「それが、千国王が羽妃様の奇跡目的で結婚されたってことですか?」
元の私たちの国では政略結婚など
今は、無い。
それに加えそんな理由で結婚したとなると
まるで、羽妃様を道具のようにしか見ていない。
「いや、それは確かなことだよ。」
ずっと黙っていた陽葵が、重い口を開き言った。
「お母様が、まだ生きてらっしゃった時」
「あの人は必要以上に奇跡を使わせていたの。」
「そんなこと」
「奇跡ってそんなにすごいものなの?」
「それは、もうね。」
「奇跡は未来が見えるの」
「それも、絶対的な未来」
陽葵は、最後の言葉を強調しながら言った。
確かに、これも文字通り奇跡だな。
夢描のように過去を魔法で見ることは可能だけど
過去は、誰かの記憶の中で完結しているもの
変わることのない事実と言えるだろう。
でも、未来は人によって思い描くものも理想も違う
その答えを知ってしまうことが出来るとは
きっと怖いだろう。
「私は、そんなお母様を助けることは出来なかった。」
「今だったら変わっていたかもしれないのに」
そうか、その時の天龍は魔法が発動する前の歳。
「お母様が亡くなられてあの人の標的は私に変わったの」
「お母様の体は丈夫ではなかったけど」
「ガンディスト王国の姫の血と」
「呪魔法を使う自分の血でできている私に」
「何かが起きると最後まで信じていたのは」
「皮肉なことにあの人だけだった。」
だから、どこにも逃げられないように暗く湿った牢屋に自分の子供を閉じ込めていたのか。
なんとも、腹立たしいこと限りない。
「でも、なんで私たちにそんなに協力的なんですか?」
それなら、私たちの下につくよりも独断でやった方が自由が効くのではないだろうか。
と陽葵は、考えていたのだろう。
「私たちも千国王を倒したいと思っているからです。」
「それでも、」
「あの人がここまで焦っていないということは、」
「...」
「もう、この戦争の勝利が分かっているではないかと」
「えっ?」
夢描は、思わず声を上げてしまった。
つまり、陽葵は今まで勝ち目がないと分かりながら
その戦いに向けて準備をしていたということなのか。
「ごめんね、2人とも」
「実は、ずっとそうじゃないかなって思ってたの」
「あの人は、きっと私がこの世界に戻ってきてるってわかってるはずなのに。」
「そんなこと、」
「分かっちゃうんだな。」
「これが、」
陽葵は、無理やり笑いながら言った。
「でも、安心して」
「みんなのことを死なせたりしないから」
「ただ、必死に戦って私は死にたいの。」
「死ねなくてもそう思えるぐらい」
「死ぬ気で」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




