239.奇跡
「そうですね。」
「今回私たちの敵がたまたま」
「呪魔法を使う人だっただけで」
「必ずしも呪魔法が悪だと決めつけるのはもったいないかもしれませんね。」
凛さんがそう言った。
「質問をしてもよろしいでしょうか?」
陽葵は、そう凛さんに断りを入れた。
「ええもちろん」
「失礼ながら何故凛様達は」
「千国王を倒したいとお考えなのですか?」
「戦争後二国の仲は良いと聞いていましたが」
陽葵が、言った通りだ。
自分の国のお姫様を隣国へ嫁がせるのだから、
ある程度良い交流があったはずだ。
「確かに、仲はよく見せていましたね。」
凛さんは、そう言った。
「見せていた」
「羽妃様のご結婚は表上は二国の絆の表し」
「ですが、本当は羽妃様が使えた奇跡が目的で」
「強制的に夫婦にさせられたのです。」
凛さんは、言葉を選びながら言った。
「っ、」
陽葵は、その言葉にショックを受けていた。
「奇跡?」
「羽妃様は、魔法が使えないはずですよね?」
風華が、質問をした。
「ええ、」
「だから、奇跡は魔法ではないのですよ。」
「文字通り私たち魔法の使えない種族にとって」
「奇跡の賜物」
「でも、そんな都合のいい奇跡なんてないのよ」
間に入ってきた陽葵の声は明らかに
元気が無かった。
「どういうこと?」
「...」
陽葵は、言葉に詰まっていた。
「私が、代わりにお話します。」
「よろしいですか?」
「お願いします。」
「奇跡と魔法の大きな違いとして」
「元となるものが違うのです。」
「元となるもの?」
「魔法の場合」
「魔法を発動させるときに体内に行き渡らせて」
「外に出すのに何を使いますか?」
「...魔力?」
「その通りです。」
「もっと前の話をすると空気中に多くある魔素から」
「自分のエネルギーと魔素を混ぜたものが魔力と言われるのです。」
だから、使ったら使った分だけ体が疲れるのか。
「ですが、奇跡は違います。」
「もちろん、私たちには魔素貯めるような特別な体の作りはしていません。」
「だから、奇跡は魔素ではない違うものを使うのです。」
「違うもの、」
なんとなく、その瞬間空気が重くなった気がした。
「自分の生命です。」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




