237.生きている価値はありますか?
「いやいや」
「なんで、」
陽葵は、凛さんの言葉に驚きを隠すことは出来なかった。
「カンディンスト王国ってまさか隣国?」
夢描は、ワンテンポ遅れて驚いた。
「なぜ、カンディンスト王国が私たちに協力をしてくれるのですか?」
「私は、あなた方に許されないことをしたのに」
地図の件だろうか。
ただ、陽葵はそのことを詳しく言おうとはしなかった。
その事を知らない夢描と風華には知られる勇気がなかったからだ。
その代わりに、凛さんの話を聞くことにした。
「そうですね。」
「王女様の件で私たちの国に大きな歴史を刻むことになりました。」
凛さんは、陽葵の様子から何かを察し地図という言葉を使わないでくれた。
「ですが、王女様も被害者ではないのですか?」
凛さんは、そう陽葵に問いかけた。
「えっ?」
陽葵は、予想もしていない発言に聞き直してしまった。
「王女様は、自分の行動に悔いていますか?」
「はい。」
「それならば、私たちは王女様達を歓迎致しますよ。」
凛さんは、優しく微笑んでくれた。
「でも、何故ですか?」
「失礼ながら凛様と私は数回ほどしかお会いしたことがありません。」
「本当に私たちに協力してもいいとお考えなのですか?」
確かにそうだ。
凛さん個人が私たちに協力するではなく
1つの国が私たちに協力するのだ。
弱みでも、握られているのだろうか。
「そうですね。」
「実は、ここに来るまでに王女様たちのことを色々調べさせてもらったのですよ。」
「そして、さっきの勇敢な行動」
「何より、王女様は羽紀様によく似ていらっしゃる。」
「お母様と私がですか?」
「それは、お母様に失礼ですね。」
陽葵は、悲しそうに微笑んだ。
「そんなことは、」
凛さんが、言おうとしたが
「いいえ、」
「きっとそうなのです。」
陽葵は、正体を明かす前に家族について話していたことがあった。
あなたは、私の子じゃない。
あれが本当に言われた言葉ならきっと陽葵が、そう考えるのも無理はないか。
「凛様私は、お母様との記憶がどんどんと薄れています。」
「本当に私は生まれてきて良い存在でしたか?」
陽葵は、自分のお母様をよく知る凛さんにそんなこと尋ねた。
「それは、今となっては分かりませんね。」
凛さんは、当然の返答をした。
死者の言葉はもう聞けない。
「それでも、」
凛さんは、言葉を続けた。
「生きてて良いのではないですか?」
「生きてて良い、」
「生きている中で自分が生きてても良い理由を探してみるですよ。」
「私も、長い間そうしながら生きてきましたからね。」
「そうしたら、こんな歳を重ねていましたが」
凛さんは、重くならないように笑えるようなことを言った。
「そして、私たちは今あなたの力が必要なのです。」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




