234.運命を変える瞬間
「もうぅ、」
「怖かったよ」
ひったくりが捕まり一段落した後に
風華が、涙を浮かべながら言った。
「私も、怖かったよ。」
風華の変貌っぷりに
「お婆さん大丈夫でしたか?」
陽葵は、ひったくりをされたお婆さんの元へと行き怪我がないか心配をした。
「大丈夫よ」
「かすり傷もないわ」
「良かったです!」
ひったくりをされた時結構な音がしたけど
当たり方が良かったのかもしれない。
「お姉ちゃんもありがとうねぇ」
お婆さんは、風華にお礼をした。
「別に、風華ムカついたからだよ?」
風華なりに気を遣わせないようにしているらしい。
「それにしても風華なんかやってたの?」
投げ技が、決まりすぎていた。
いつもの可愛好きの風華からは考えられない素晴らしさだった。
「あのねぇ」
「風華ねぇ」
「両親がいないからぁ」
「おじいちゃんに育ててもらったんだけど」
「おじいちゃん武闘家でねぇ」
「小さい頃から叩き込まれてたのぉ」
それなら納得がいくかもしれない。
もしかしたら、戦うと性格も変わってしまう系か?
前々から、訓練時に口調が変わることも少なくなかったし。
「これがギャップってやつだね。」
夢描は、そんなことを言った。
「失礼」
その時間に割って入ってきたのは
見慣れた白いマントを羽織った女の人だった。
「...」「翼の騎士団」
さっきまでいなかったから完全に油断していた。
こんな騒ぎが起きていたら来ることも想定できていたはずなのに。
「ごめんねぇ」
風華も、ただ謝るしか無かった。
どうする?
逃げるか。
でも、陽葵だけ逃げられたとしても2人が逃げられる可能性は低いかも。
「少し着いてきてもらっても?」
女の人はそう言い
逃げられないと覚悟した3人は着いていくことにした。
「大丈夫、もし危険なら私が守るから」
陽葵は、2人にそう耳打ち素直に着いて行った。
「...」
どうやら翼の騎士団はこの女の人1人しかいないようで
女の人はどんどん路地裏へと歩いていった。
さすがに、怪しすぎる。
「ここだ。」
人目につかない場所に着いた時
女の人は、そう言ったが
目の前には壁と1つの水溜まりしか無かった。
「はめられた?」
夢描が、震える声で陽葵の腕を掴んだ。
「いいや」
陽葵は、こんな状況かでも何故か冷静で
目線が女の人ではなく水溜まりを見ているのも引っかかる。
「何故、この水溜まりから」
「あなたの魔力を感じるのですか?」
陽葵は、鋭い声を向けた。
「ふふ、」
「ははは!」
「え?」
女の人は、いきなり大声で笑い始めた。
「すまない」
「やはり、君はすごいね。」
「よし!着いてこい!」
「この先で君たちと話がしたいんだ!」
この人が何を言っているのかさっぱり分からないが
さっきとは雰囲気が違うような気がする。
「この先って?」
その張り詰めていた空気が変わっせいで夢描は、うっかり質問をしてしまった。
「もちろんここさ!」
そう言って女の人は水溜まりの中へ足を踏み出した。
―シュッ
明らかに足が床よりも下に沈んでいる。
この水溜まりも魔法でできているということか?
「この先に君らが来るかは自分たちで決めていいさ」
「ただ、もし来てくれたら」
「私たちは、心から君らを歓迎しよう。」
そう言って、女の人は水溜まりの中へと姿を消した。
―コツッ
「陽葵さすがに怪しすぎるって」
夢描は、前に出た陽葵を止めた。
「2人はここで待ってて」
「私は少し行ってくる」
「そんな、」
「大丈夫!私簡単には死ねないから!」
陽葵は、一度も後ろをふり向かず歩き出してしまった。
「あぁ!」
「私も行くよ!」
そんな陽葵を見て勢い任せで2人も前へ歩いていった。
「一人で突っ走るのやめてよね!」
「ごめん」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




