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231.この子を信じます。

「本当ですよ。」


「あんたは、」


そうは、声のするほうを見て驚いた。


「母さん」


律は、思わず声がでた。


そう、律の言う通り

そこには、律たちのお母さんが立っていた。


「治ったのか?」


そうは、慌ててお母さんの方へ駆け寄った。


「えぇ、」

「あの子のお陰ですっかり元気になりましたよ。」


そういうお母さんの目線は、陽葵のことをとらえていた。


「そんな、」

「変なことされなかったのか?」

「よりにも寄って王族に治されるなんて」

「辛かったろ?」


そうの、発言にはさっきまでの嫌味は感じられなかった。

つまり、心の底からそう思っているということだ。

王族に治されることが可哀想なことだと。


「そうさん」

「いい加減にしてください。」


お母さんは、落ち着いてけれど冷たく言い放った。


「えっ?」


そうは、何を言っているのか理解できていない。


「確かに、私は王族を許しません」

「私に呪いをかけたからではなく」

「子供たちに長年不安な気持ちを持たせていたからです。」


お母さんは、そうのことをしっかりと見て言った。


「でも、この子は違うんですよ?」

「あなたたちが、呪いをこの子に解いてもらうところを見ていましたが」

「弥琴さんが、気づかなかったら」

「あなたたちは、この子が天龍様であると分からなかったのではないです?」


「...」


それもそうだ。

だって、陽葵は自分から正体を明かすのをあまり好んでいない。

立場の差を感じて欲しくないからもあるが

陽葵自身、王族である自分を認めたくないのだろう。


口に出してしまったら

その度に自分に言い聞かせていることになってしまうから。


「そんな子が、」

「本当に利益だけであなたたちを助けたとお思いですか?」

「花は、この子に会ってから変わった気がするんですよ?」


花と陽葵を交互にみてこういった。


「前までは、全部自分でやると言って」

「聞かなかったのに今では、一緒にやって欲しいと」

「手伝って欲しいとまで言ってくれるんです。」


「だから、私は心の底からこの子を信頼しています。」


母は、強しとはこのことだろう。

子供が信じようとした人に自分も信じようとしてくれる。


「っ、」

「ありがとう、ございます。」


親の愛を知らなかった陽葵にとって

それは、何よりもの救いになることだろう。


陽葵は、頭を下げたまま

体を少し震えながら

静かに涙を堪えていた。


「そうさん」

「私のこれまでについてお話してもいいですか。」


陽葵は、落ち着いてから顔をあげ

そうに、そうお願いをした。


「...」


何も言わないのだから話してもいいということだろう。


「私は、昔ーー」


それから、陽葵を自分についてのことを話した。


この4年間本当は城の中にいなかったこと。

長い間王様によって牢屋に入ってたこと。

そして、固有魔法のこと。

王様を倒すために戻ってきたこと。


全てを嘘なく話した。


「なので、私たちはこれまで」

「王様を倒すため訓練を続けていました。」

「なので、あなたたちのような方たちに危害を食われる気は微塵もございません。」


「もし、信じてくださるのなら」

「王様を倒した暁には皆さんの未来が明るいものになることを保証致します。」


陽葵は、そう言い終えた。


「そんなの、」

「信じられとでも思っているのか!」


だが、そうは簡単には認めてくれない。


「もし、お前が今言ったことが」

「嘘話だったら?」

「お前らが王様を倒せなかったら?」

「そんな分かりもしない未来語られてもな」

「信じるほど優しくねぇんだよ!」


そうは、そう怒鳴りつけた。


「はい。」


陽葵は、何故か返事をしてから。

一呼吸し告げた。


「もし、私の話が嘘だと皆さんが判断したり」

「私たちが王様に負けたら」

「私は、喜んで処刑台に立たせてもらいます。」


「天!」


司は、思わず声を出した。


だが、陽葵の目を本気だった。

だがら、司はやめてなど簡単な言葉は言えない。


「その代わり私だけの命で許してくれませんか。」

「この話を始めたのはこの隊のリーダーも私だけです。」


最後までみんなを守る行動を見せた。


「...分かった」

「俺は、お前ら王族を許した訳じゃない」

「今の俺じゃ何も出来ないから見張るだけだ!」


そうは、腑に落ちなさそうな表情を見せたが

認めたことには変わりない。


「はい。」

「承知しました。」


陽葵は、ようやく笑顔を作ることができた。


─────────

「どうだ!」

「わしの軽やかな呪いは!」


日が落ち

城にさす光は、どこを探してもなかった。


ランタンの頼りない光だけがこの城を照らしている。


「やはり」

「あの呪いは国王陛下のものでしたか。」


その中に2人

何やら話している声がした。

1人は、この国の王千国王。

もう1人は、マントを被りよく見えない。


「あぁ、」

「なんだ?」

「わしに、文句でもあるのか?」

「よはりお前はまだあ(・)ち(・)ら(・)側(・)に(・)つ(・)き(・)た(・)い(・)の(・)か(・)?(・)」


国王は、冷たい声で圧をかけた。


「いいえ」


謎の人物は、それだけ言った。


「忘れるなよ?」

「あのことを。」


そう言い終えてから

部屋へと帰っていった。


謎の人物は、その場で立ち上がり

暗くなった外を見ながら呟いた。


「絶対に潰してやる」

「天(・)龍(・)」

ここまで読んでくださってありがとうございます。

次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。

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