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229.懐かしの知人

「ふぅ、」


光は、優しく呪いにかかった人々の体を包み込み

少したったあと音もなく消えていった。


―グラッ


「あれ?」


陽葵は、足に力が入らなくなり

静かに座り込んでしまった。


「陽葵!」


司が慌てて駆け寄った。


陽葵は、笑いながら


「ごめん大丈夫」

「やっぱりこれ魔力の消費量がすごくで」


笑ってはいるが明らかに顔色が悪い。

さすがに、10人一気にはきつかったのではないか?


「大丈夫ですか?天龍様」


そう言ってゆっくりと歩きながら近づいて来たのは

一の知り合いというあの老人だった。


でも、なんで陽葵の名前が天龍であると分かったのだ?

司が、わざわざ名前を変えて言っていたのに。


「やっぱりあなただったんですね。」

「弥琴(みこ)さん」


陽葵は、そう言った。


「はい。」

「あの時は、最後までおそばにおれず」

「申し訳ありませんでした。」


状況の把握ができていない周りをほったらかしにして

2人は話を進めていた。


「いいえ」

「あなたが謝ることはございませんよ。」

「私もあなたを最後まで守れなかったのですから。」


陽葵は、頭を下げたままの弥琴という名前の老人の肩を優しく触り

あげるように指示した。


「えっと、」

「話の間に入ってごめんなんだけど」


花が、目で

この弥琴さんという人は誰なのか訴えた。


「ごめん」

「紹介し忘れてた。」

「こちらは、私の」

「元教育係の弥琴さんです。」


陽葵は、手で弥琴さんの方をさしながら言った。


花は、陽葵に近づき小さい声で話した。


「教育係ってことはあの鞭を打たれたって言う?」


小声で言ってくれているが

チラチラと弥琴さんの方を見ているので

絶対に不審がられているとは思う。


「違うよ!」

「その人は、弥琴さんの後に来た人」


陽葵も、小声で話した。


「弥琴さんは、優しく教えてくれたのに」

「私が全然できなくて」

「あの人の命令で辞めさせられちゃったから」

「弥琴さんは本当にいい人だよ!」


最後だけ声が大きくなってしまった。

だが、そのお陰でこの弥琴さんはいい人だと分かった気がする。

ここまで必死な陽葵は中々見ないから。


「おい、あんた」

「天龍様なのか?」


呪いにかかっていた男の人がどうやらさっきの

弥琴さんの話を聞いていたらしい。


「はい。」


陽葵は、躊躇わずに言った。

言い逃れはできないからだろう。

さっき、大きな声で天龍の救出とか言ってたし


「お身体は、だいじょ」


「近づくな!」


陽葵が、男の体を気づかない

近くに行こうとした瞬間

男は、殺意のこもった声で怒鳴り散らかした。


「っ、」


陽葵は、何も言わず後ろへと下がった。


「ふっ、」

「今頃、王族がなんの用だよ」

「ずっと引きこもってるのが嫌になって」

「酷い暮らしをしている俺たちを救ってあげようと」

「上から見てるのか」


男は、終始鼻で笑うような言い方をし

完全に陽葵の、ことをバカにしていた。


「ちょっ!」


花が、言い返そうとした時

陽葵は、すっと腕を花の前に出して

止まるように指示した。


「申し訳ありません。」

「そんなつもりは一切なく」


陽葵は、頭を深く下げて謝った。


「ふざけるなよ!」

「嘘に決まってる」

「俺たちが苦しんで死ぬ前に助けて」

「これからも、そんなことを続けて嘲笑う気か?」

「それなら、いっそ」

「そのまま、死にたかった。」

「お前なんかに助けられた命いらねぇよ!」


男は、目を充血し

唾が飛ぼうがお構い無しに

陽葵を攻め続けた。


「くそっ!」


ずっと後ろで黙って聞いていた司も

とうとう我慢の限界で隠していた剣を構えた。


「ほらな!」

「お前らは、すぐにでも俺らを殺せるんだろ?」

「ならいっそ殺してくれよ。」


男は、司に煽った。


「ああ」

「お望み通り殺してやる!」


司もその挑発にのり

剣を抜いてしまった。


「やめて、」


陽葵の声は耳に入らないかのように

司は、構えの姿勢をとった。


男も、逃げるなどせず

狂った笑みを浮かべていた。


「うぁぁぁ!」


司が、力を込め叫んで男に向かった。


その瞬間


「おやめなさい!」

ここまで読んでくださってありがとうございます。 またまた、投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。

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