218.懐かれてしまう楓
「でも、この子どうするの?」
花は、龍のことを見ながら言った。
見るからに龍は私たちを警戒してる訳ではなさそうだし。
「親は、どこにいるの?」
この龍は子供だから近くにいるはずだ。
その親に返してあげればこの子も安心するかもしれない。
「いや」
「近くに親はいないと思うよ。」
柚は、龍の頭を撫でながら言った。
「なんで?」
こんなに小さいのになぜ柚は、そこまで言い切れるのだろうか?
「これは、神獣の特徴のひとつでね」
「神獣は、生まれた瞬間から自分の番を見つけるまでひとりで生きなきゃいけないの。」
柚は、優しく頭を撫でながら言った。
龍はキューと可愛らしい声を鳴らし
気持ちよさそうに目をつぶりながら柚の手をすりすりとした。
「そんな、」
「じゃあ」
「この子は、ここで離した方がいいね。」
手をそっと離して言った。
悲しいけどこれが自然と言うものだろう。
たとえ、神獣という珍しい生き物だからと言って自分たちで勝手に持ち帰ることは出来ない。
「楓、手を離してあげて」
柚は、龍から楓に目線を送り言った。
楓は、少し悔しがるような表情を見せながらそっと龍を抱く腕の力を抜いた。
「ほら、もう行っていいぞ」
楓は、ぶっきらぼうに言ったが
その声は少し寂しさを見せていた。
「きゅー?」
龍は、何が起きているのか分からないように首を傾げながら楓を見た。
その目は、うるうるとしていてあまりにも愛しい顔だった。
「くっ、」
楓は、その顔にやられ声を発してしまった。
龍も、楓の腕から離れる様子はない。
「あらあら」
「どうやら、龍は楓に懐いちゃったみたいだね。」
柚は、困ったように言った。
「神獣は、あんまり人に懐かないはずなのに」
「楓なんかした?」
「別にしてねぇよ」
「ここに無理やり置いていくのは」
「怒らせそうだしとりあえず一緒に帰るしかないかな。」
子供でも、神獣だから。
下手に怒らせたらここにいるみんなでバイバイも有り得る。
それだけは避けなければいけない。
「楓に飽きて自分から森に帰ろうとするかもだし」
「こいつは、そんな事しない!」
「いや、そうして欲しいんだけどさ。」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




