211.空
「陽葵?」
陽葵の泣いているところなんて
今まで見たことがなかった。
「私の書いた地図で大勢が亡くなったことを知った時」
「もう全てどうでも良くなかった。」
「...」
「生きていても死んでもどっちでも良かった。」
「どっちでも」
「だから、私は死ぬ気で勉強をしたの」
「今度は利用されない為に」
「私そんなことも知らないで」
「あんなこと言って」
「ごめ、」
「ねぇ、空」
空は、自分のすぎた発言を謝ろうとした時
陽葵が、自分の涙を拭きながら空の目を見て言った。
「...何?」
「平和な時代にさ。」
陽葵は、腰を上げて
空のそばに行き空の手をそっと握りしめ呟いた。
「人を倒すための力を身につけるため」
「7年間を無駄にした人と」
「...」
「誰かを救いたいために一心に」
「3年間地道に努力をしてきた人」
陽葵は、強ばっていた表情を崩し
優しく微笑み言った。
「空は、どっちの方が必要な存在だと思う?」
「それは、」
明らかに、後者の方が必要だろう。
だが、それを言って陽葵はの心を傷つけないだろうか。
空は、そんなことを考えてしまい
続きの言葉が出せずにいた。
「って、」
「変なこと聞いちゃったね。」
「そんなことは」
変な間を開けてしまったのは事実だ。
「でも、今になって分かったよ」
「...何が?」
「私の7年間も無駄じゃなかった」
「......え?」
「あの期間があったから今の私がいて」
「みんなに会えた」
「だから、私も無駄じゃない」
「そうだね。」
「陽葵は、凄いよ。」
「羨ましがるのもおこがましかった。」
空は、まだ自分のことをマイナスに捉えているようだ。
「もう、 」
「空の世界では」
「類は友を呼ぶ」
「ってことわざがあるんでしょ?」
「だから、空も無駄じゃないよ」
「そんなこと、」
「空が、私をすごいって言ってくれるなら」
「空だって凄い。」
「この私がそう言うんだ!」
「間違えなしだよ!」
「そっか」
「あの天龍様が言うなら間違えないかもね。」
「その通りなのです!」
空は、陽葵の拍子抜けな行動に
自分の悩みがバカバカしくなった。
「それに」
「私は、1人じゃこの戦いには勝てない」
「だから、みんなに助けを求めたんだもん」
「本当にみんなは凄いよ。」
「陽葵?」
陽葵ぐらいなら
余裕で倒すことさえできそうだが。
結果論今まで危険なところは
陽葵一人で抜けていたように思える。
「空が弱くなるのも私に似てるのかな?」
陽葵は、笑いながらそう言ったが
空は、笑うことができなかった。
「陽葵、泣いてもいいんだよ。」
そう言ったら
陽葵は、強がってしまうから言わなかった。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




