Episode 200 陽葵
まさか、諦めてしまうのか?
「もしかしたら」
「他に方法があるかもだよ?」
「諦めるのは早すぎるよ」
花が、一生懸命説得した。
「ごめん花」
「多分ここから、司を助ける方法は」
「もうこれ以上ないと思う。」
陽葵は、どこか力の抜けた声を出した。
「そんな、」
「じゃあここで司が力尽きるのを見届けろってこと?」
夢描が、焦りながら言った。
「大丈夫」
「何が大丈夫なの!」
その時のみんなは、司を助けられないという焦りから
口調が強くなっていた。
きっと、自分たちだけでもなんとかなると
考えていたからだろう。
今の私たちにそんな大きな力はないのに。
「みんなごめんね」
陽葵は、なぜ今謝るのだろうか。
「陽葵?」
そういえば
陽葵は、ごめんのをよく言うのに
ありがとうは言ってくれない。
こんな時なのにそう思ってしまう。
そんなことを考えている間に
陽葵は、静かに扉の近くへと
ゆっくり焦ることなく歩いていった。
その一歩一歩が何故か重く感じられるほどにゆっくりと。
「陽葵?」
私たちは、陽葵の行動に理解が出来ず
名前を呼ぶことしか出来なかった。
「ふぅ、」
陽葵が、扉の前に着き
呼吸を整えた。
「龍今助けるからね」
陽葵は、そう言って
両手を胸の前に合わせ、祈るような仕草を見せた。
「幻想魔法」
「解除」
陽葵は、強く呟いた。
幻想魔法?
幻想の面のことを指しているのか?
「面を外すのにそんな言葉いらないけど」
花は、不思議そうに言った。
「あれ?」
それを聞いた夢描が、声を上げた。
「陽葵って、いつ幻想の面付けてた?」
いつって、
あれ?
みんな、付ける時顔が分からなくならないように
一緒に付けたはずだ。
でも陽葵が、幻想の面付けたところを
―そうだ
私たち見ていない。
じゃあ陽葵は一体
─ヴゥゥン
陽葵の方から煙が流れてきた。
その煙のせいで当たりの視界は見えずらくなってしまった。
「陽葵!」
「...」
返事は返ってこない。
数秒経った頃だろうか。
辺りの煙が薄くなり当たりが見えやすくなった時
「陽葵?」
陽葵が、立っていたはずの所には
見覚えのない
だが、どこかで見たことのあるような。
金髪が綺麗に輝く
バランスの取れた無駄のない立ち姿。
その人物を見た瞬間美しいとはこういうことなのかと
思わせるような存在感。
ただ、一つだけ着ている服は陽葵のものだった。
その謎の人物は
扉の方へと歩いた。
水晶へ手を伸ばし触れた。
─ポワァン
さっきまで変化を見せなかった
水晶が今瑠璃色に輝いていた。
「――私の名は、天龍」
「扉よ、開けなさい。」
「えっ?」
謎の人物当たり前のことのように言ってしまったせいで
頭が追いつかない。
―ギィィィ
ただ、
水晶が、さっきと比べものにならないほどに光を放ち。
扉は鈍い音を立てながら開いた。
扉の中は薄暗かったが
その中には力が入らないのか
半分横になっている。
「司!」
司がいた。
司は、助けられて安堵しているかと思ったが
扉が完全に開き
中の様子が分かった時
司の表情はこの世の終わりかというようだった。
「...天?」
司は、掠れた声で聞こえるか聞こえないか
そんな小さい声で言った。
「遅くなってごめん」
さっきは、頭が働かなかったからわからなかったが
今なら分かる気がする。
謎の人物から発せられる声色は
やっぱり陽葵のものだった。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
ついに200話を迎えることができました。
いつも見てくださっている方心から感謝しています。
次回も、少しだけこの世界に付き合って貰えたら嬉しいです。




