194.最悪な登場
「でも」
「龍姉様は司をどう助けるつもりなのですか?」
蛍は、そう言った。
天龍様の力が借りれない今
千国王に頼み込んでも100%捕まる。
一体どうするというのだろうか
「とりあえず」
「行ってみないと分からない」
「もしかしたら」
「監獄が金でできていたら」
「金樹の魔法が使えるかもしれない」
「それがダメなら」
「みらいの修復魔法でその監獄を」
「消すことが出来るかもしれない。」
陽葵は、そう言った。
必死に
自分の頭の中を全部使って
絞り出したように
「龍」
「言葉遣いが美しくないわよ」
恋歌は、夢中なりすぎている
陽葵に注意を入れた。
「申し訳ありません。」
──────
「皆様」
「終契監獄に行くためには」
「大広間を抜けるしか」
「道がないのです。」
大広間は今
この城のかなで最も人口密度が高い。
陽葵や、恋歌達はドレスを着ているから
怪しまれることはないが
煙魔法で隠れている17人が
ぶつからずに通り抜けることができるかどうかだ。
「私の考えでは」
「まず私が終契監獄に繋がる扉を開きます。」
「その後2、3人ずつで来てください。」
「なんで、」
「そんなめんどくさいことしなきゃ」
隠れている蓮が呟いた。
「死にたいのですか?」
「っ、」
ここは、訓練場じゃない
本当に生きるか死ぬかの戦場なのだ。
「かと言って」
「本番は、まだここじゃないのです。」
「何があっても」
「怒りを表に出さないでくださいね。」
その言葉は、まるでみんなに言ったように聞こえるが
きっと、自分に言い聞かせているのだろう。
「それでは行きますわよ」
陽葵達は、ドレスを整え
楓と夢描は、重い扉を開いた。
大広間の中には
数え切れないほどの人だった。
ざわざわと貴族たちの話し声
ヒールの音。
正直いって
色々な匂いの香水が混ざりあっているため
鼻をつまみたくなる強烈な匂いもする。
「行きますわよ」
どうやら、千国王はまだ来ていないみたいで
王座は空だった。
運が良かったな。
正直、顔を見たくない。
見たことないけど。
―カツカツ
陽葵たちは、走ったりすることなく
歩き
着々と扉へと近づいて行った。
もう少しで扉に着く!
そう思った瞬間だった。
―ざわざわ
会場の声が明らかに大きくなった。
思わず王座の方へと目線を向けた。
「千国王陛下のご入場です。」
側近らしき人がそんなことを言った。
最悪だ。
千国王と言われた人物が
王座に座った。
「っ、」
千国王の容姿としては
不必要なぐらいに身につけた宝石
そして、天龍様の父親と言うだけあって
顔立ちは整っていて髪は金髪
ただその目には一切の光を持っていなかった。
「皆の衆」
「今日はよく来てくれた」
「楽しんでいってくれ。」
千国王が、シャンパンらしきものを持ち言った。
その後は、席に座り
何をする訳でもなくただ
視線を右へ左へと動かした。
「行きますわよ」
陽葵の低い声でようやく
本当の目的を思い出すことが出来た。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




