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180.してはいけない恋

「1人の女性と」


「その人って写真の?」


「そうですよ。」


慎さんは、嫌な顔ひとつせず答えてくれた。


「でも、恋をしただけで」

「騎士団をなぜ辞めなくちゃいけなかったんですか。」

「慎さんは、罪人の方に恋をしたんですか?」


「ふふ」

「違いますよ。」

「メイドさんです。」


慎さんは、懐かしそうに言った。


きっと、慎さんと女性はお城で勤務をしている中で恋に落ちたのだろう。


「?」


空は、今までの話を聞いて何がいけないことなのか分かっていないようだった。


「こうなっては」

「説明するしかないですね。」


慎さんは、そんな空を見て言った。


「私たちには確実な身分の差があったのですよ。」

「女性はメイドではありましたが」

「現王女様のお付のメイドをしておりました。」


現王女と言うと天龍様のことだろう。


そんな大役を身分の低いものには任せられないのかもしれない。


「この世界で身分の差の婚約は基本ご法度なのです。」

「私は、職を失うだけですみましたが」

「酷いものでは」

「一生を牢屋の中で過ごすことになる方もいるんですよ。」


「そんなことって」


「この世界ではそんなことが当たり前なのですよ。」


「...慎さん」


「ですが、」

「女性と別れる時に」

「約束をしたのです。」

「たとえ、国が認めてくれなくとも」

「私たちは、夫婦であると。」


だから、前に写真の女性について聞いた時

慎さんは、婚約者だと言ったのか。


たとえ、紙の上に2人の名前が並ぶことはなくとも

2人が愛し合えばそれは愛になるのだから。


「さてさて」

「老いぼれの話はここまでにしておいて」

「探し物はこれですね。」


慎さんは、そう言って1つの本を本棚から取り出した。


『終淵監獄』


その本からこぼれるオーラは禍々しいものだった。


「じゃあ開けるよ。」


陽葵がそう言って本を開いた。


──────

―終淵監獄


この監獄に入るものは罪人である。


1度監獄に入ってしまえば

ゆっくりと魔力を監獄に吸われ

痛みに耐えながら

最後には抜け殻だけが残る。


この監獄に入ってしまえば

もう二度と

陽の光を浴びることはかなわない。


どんなに願っても

どんなに金を積んでも

監獄の扉は耳を傾けようとはしない。


監獄には鍵穴はなく

それに準じて鍵はない。


ただ1つ

監獄の扉を開ける方法がある。


扉の中央に埋め込まれている。

白い水晶玉

それに手を当て自分の名を唱える。


扉がその者が嘘をついていないと

判断した時にだけ

扉は重い音を響き渡らせ

開くことが許させる。


ただ、開けることの許されるものは

王または、その血を色濃く受け継いだものにしか開けることは許されない。


──────

「な、なにこれ」


本の所々が霞んで解読することが難しいところがあった。

何とか、読めるところを繋ぎ合わせて読むことができたが。


「私ずっと謎だったの」


空が、本を読み終えて呟いた。


「何が?」


「終淵監獄みたいな言わば国家秘密みたいなものを」

「わざわざ本に書いて」

「国立図書館に置いてる理由が分からなかった」


空が、本から目を離さず言い続けた。


「でも、これは」

「親切に書かれた説明じゃない」

「私みたいな一般人には」

「けして開けることが叶わないと言う」

「忠告なんだよ。」


その瞬間

考えざる負えなかった。

司を助けることは不可能ではないかと

ここまで読んでくださってありがとうございます。

次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。

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