169.陽葵の不得意
「そんなことない、」
「あっ、」
未来が、陽葵の言葉を否定しようとしたが
どうやら、その言葉の意味が理解できたようだった。
「うん、」
「でしょ?」
陽葵は、落ち着いたように言った。
「そういえば」
「高校で」
「家庭科の時」
「毎時間ミシン壊してて」
「先生に怒られてたんだっけ?」
花が、そう言った。
「うん」
陽葵は、思い出して落ち込みながら言った。
「優しいで有名だった」
「あの先生が顔を真っ赤にしながら」
「怒ってて」
「俺も、あれは覚えてるぜ」
蓮が、苦笑いをしながら言った。
「だって、」
「普通にやってても」
「ミシンからしないような音が鳴るんだもん」
陽葵は、料理もそうだが
家庭的なものが壊滅的に出来ないのだろう。
「それでよく」
「みんなで服作ろうとか言ったな」
「だって」
「必要だと思ったんだもん」
陽葵は、落ち込みながら言った。
「そ、それにさ?」
「この中で今魔力量が1番多いのは」
「私でしょ?」
「ほら、適材適所って言葉があるし!」
「そーですねぇ」
「なんで棒読みなの!」
きっと、陽葵なりに自分の出来なさをカバーしたいのだろう。
「それか」
「みんなの作業スピード上昇のために」
「おやつでも作ろうか?」
陽葵が、いい考えと言った。
「やめて、」
「作業が増えるから」
台所の片付けという作業が。
──────
「それじゃあ」
「魔法石をはめて」
「陽葵、魔力流して」
結局陽葵は、魔力を流す仕事を任された。
「はい!」
―カチャッ
陽葵が、ミシンのくぼみに魔法石をはめた。
「スっ、」
陽葵は、目をつぶり魔力を魔法石に流すのに集中した。
―ポワンッ
魔法石に魔力が溜まったのだろうか。
魔法石が、黄色に光った。
「おお!」
「なんか、かっけぇ!」
直人は、それを見て感動していた。
「よし!」
「全部入ったよ!」
陽葵が、得意げに言った。
「体調は変化ない?」
りかが心配そうに言った。
「全然大丈夫だよ!」
「なんならあと、100台あっても平気!」
陽葵は、ニッコリ笑いながら言った。
「それは、私がもたないよ」
未来が、言った。
「それで、最初は誰から作るの?」
蛍が、未来に質問をした。
「えっとね、」
「最初はシンプルめな」
「楓かな。」
「シンプルで悪かったな。」
楓が、また嫌味まじに言った。
「別に、シンプルが悪いって私一言も言ってないでしょ!」
未来が、それに反論するように口に出した。
「でも、確かにシンプルだね。」
デザインも、今来ている服とそう変わらないし
何より全体的に暗い。
「俺は、別に目立ちたくないからいいんだよ」
「へぇ、」
「自分にセンスがないのがバレるのが怖いだけでしょ?」
さなが棘のあることを言った。
「あぁ゛?」
楓も、さすがに黙っていられなかったのか
声を上げた。
「さな流石に言い過ぎね!」
その間に入ったのは菜々だった。
「お前こそ」
「そんな派手で」
「センスがないんじゃないか?」
楓はデザイン紙を見ながら鼻で笑いながら言った。
「なんですって!」
「これは、ちゃんとB組を意識した」
「服なんだからね!」
さなの、服のデザインは星などが多く使われていた。
正直言ってB組要素がどこにあるのか分からなかったが
楓とは対象的なデザイであることだけ分かった。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




