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164.誕生日プレゼントですよ。

「でもよぉ」

「普通に考えて」

「これ完成させんの無理じゃね?」


蓮が、服のデザインが描かれている紙の束を

ペラペラとめくりながら言った。


「なんでよ?」


「だって、」

「俺たち」

「ほとんどが服作ったけどないんだぞ」

「それに、全部自分たちの手でやってたら切りないじゃん」

「なんだっけ」

「ミシンとか無いだろ?」


「何よ」

「蓮が、正論言っちゃって。」

「ムカつくんだけど」


花が、しかめっ面をしながら口に出していた。


「なんでだよ」


蓮は、もうツッコミを入れるのを諦めたらしい。


「でも、そうなのよね」

「やりたい気持ちはあるんだけど」


結局このまま布が揃ったところで

問題は山ずみだ。


ミシンがこの世界にないかと言われたら

その答えはNOだ。


この世界にも一応ミシンはある。

でも、高級品のはずだ。


「それでしたら」

「こちらをお使いください。」


「慎さん?」


慎さんは、物置部屋から大きな箱を持ってきた。

その箱には何故かラッピングが施されていた。


「なんですか?」

「これ?」


見た目から分かるのは

きっとこれはプレゼントだ。

でも、なんで今?


「これはですね。」

「私から皆さんへの誕生日プレゼントです。」


「えっ?」


本当に慎さんが何を言っているのか分からなかった。

私たちの誕生日プレゼント?


「皆さんがこの世界に来てから」

「1年と半年が立とうとしていますよね」


「そういえばそうですね。」


「なんか、あっという間でしたけど」


色々なことがありすぎて時の流れを忘れていた。


「この世界に来てから」

「皆さんは誕生日を迎えたはずですよね。」

「本当は1人に1人にあげたいのですが」

「今回は一気にまとめて渡しますね。」


慎さんは、いつものように優しい顔で言ってくれた。


「で、でも」


陽葵は、申し訳なさそうにしていた。


「遠慮することはないのですよ。」

「勝手ながら皆さんのことを」

「実の孫のように愛おしく思っているのです。」

「年寄りのわがままに付き合ってください。」


「そんな、」

「私たちだって」

「慎さんのことを大切な家族だと思ってますよ!」


慎さんの暖かい言葉にいつも救われている。


「ほら、開けてください」

「でも、あまり期待し過ぎないでくださいよ?」


慎さんは、眉を上げながら言った。


「みんな開けよう!」


陽葵は、ラッピングが破れないように気をつけながら剥がして言った。


ラッピングを全て剥がし終わった後に出てきたのは

真四角の木箱だった。


「うわぁ!」

「何が入ってるのかな」


未来は、興奮を抑えられない様子だった。


―パカッ


陽葵が蓋を開けた瞬間みんなは箱の中を見たくて頭を押しあった。


「こ、これって」


未来が中身を見て驚いた。


なぜなら、箱の中身は


「ミシン?」


高級品のはずだが。


「これは、中古で買ったものです。」

「なので、所々汚れはありますが。」

「皆さんのお役には立てると思いますよ。」


「それは、もちろん」

「そうなんですけど」


中古でも結構な値段はするはずだ。

プレゼントだから値段は聞けないが


「...」


陽葵が、あまりの高級品に

ミシンをさっきから睨みつけている。


「そしてもう一つ」

「価値は、ミシンほどでは無いですが」


そう言ってまたまた

慎さんは何かを取りに行った。


戻ってきた慎さんが持っていたのは

ラッピングのされた袋だった。


「これって?」


誕生日プレゼントは、さっきので十分じゃ?


「もしかしたらこの中で」

「2回目の誕生日を迎えている人が居るかもしれないので」

「これは、それ用のプレゼントです。」


「うう、」

「慎さん」

「おじいちゃんって呼んでもいいですか?」


蓮は、優しすぎる慎さんを見て涙を浮かべながら言った。


「いや、ダメだろ」


花のこれほど鋭いツッコミを聞いたのはこれが最初の日となった。


「困りましたねぇ」


慎さんは、嬉しそうに言った。


──────

「うわぁ!」

「これとっても綺麗よ!」


もう一つのプレゼントの中身はたくさんのリボンだった。


「このデザイン私好き!」


レースのようなものから

何もデザインの無いもの

個性が現れているリボンたちだった。


「服を作る上で装飾品は」

「多い方がいいと思って」


慎さんは、喜ぶみんなをみてほっこりしたように言った。


「はい!」

「これでやる気も爆上がりですよ!」


もちろん、1番喜んでいたのは未来だが。


「ですが、」

「ミシン1つでは」

「作業スピードはそこまで変わらないでしょうか?」


慎さんは、心配そうに言った。


「それなら大丈夫ですよ!」

「私転移前」

「ミシンのこと結構調べたんで」


「?」

「それのどこが」

「大丈夫なの?」


未来の不思議な発言にみんなは首を傾げた。


「あれ?」

「言ってなかったっけ」

「私上級魔法である一定の条件を満たせば」

「ものを複製できるようになったの。」


「...」

「えっ」

「えぇぇぇぇぇ」


おいおい

未来

そんなこと誰も聞いてなかったぞ?

ここまで読んでくださってありがとうございます。

次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。

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