159.1人では出来ないから〜普通の布と何が違う?〜
「じゃあもう勝ったじゃん!」
陽葵の発言を聞いて夢描は安堵した。
「10分しかないから焦ったけど」
「さすが!」
蛍も、嬉しそうに言った。
「でも、私は2人の意見も聞きたいの」
「えっ、」
「なんで?」
夢描は、目を丸くして驚いた。
「だって、」
「今考えていることは」
「私一人で考えたことだよ?」
「見落としとか」
「勘違いがあるかもしれないでしょ?」
「だから」
「私は2人の話を聞きたい!」
陽葵が両手を顔の前に合わせて
お願いのポーズを取った。
「まぁ、」
「それも、そっか」
「みんなで考えた方がいいよね」
蛍も納得したところで
3人は天の声の今までの行動や発言を思い出した。
「そういえば」
「ここに入る条件の1つに」
「珍しい魔法が使える者」
「ってあったじゃん」
夢描が、最初に口を開いた。
「私あれずっと」
「気になってて」
「気になる?」
「うん」
「だってさ」
「ぶっちゃけるとさ」
「不正なことをし珍しい魔法って言っても」
「分からないんじゃないかなって思ったの」
「たしかに」
「店主さんが言ってたあの双星魔法とかで」
「元素魔法を混ぜれば」
「いけるかもしれない」
夢描の着目する点は珍しく鋭い。
「でも」
陽葵が、逆接を言った。
「それなら、対策はあったんじゃない?」
「対策かぁ」
「例えば」
「お店に入れるのは」
「必ず1人までとか」
「自分の固有魔法が記されている物を持ってくるとか。」
陽葵は、そう言った。
「その通りだわ」
「けれど」
「このお店は人数制限はあるものの」
「必ず一人まででは無いよね」
「それに、」
「その場で見せるだけで」
「固有魔法だと信じてくれた。」
2人は、陽葵の話を聞いてさらに悩むことになった。
―カチカチ
店内にある時計の針が3人を急かすように動いていた。
『ちらっ』
陽葵は、時計を見てから次のように言った。
「そういえばさ」
「私たちが言っていないのに」
「蛍にも珍しい魔法があるって」
「店主さんは気づいてたよね?」
「そうだよ!」
「それに、陽葵が普通の人よりも魔力が多いことも分かってた。」
蛍がそう言ったあとまた黙り込んでしまった。
「流星みたいな」
「鑑定系なのかな?」
「それだよ」
「夢描!」
陽葵は、何故か嬉しそうに言った。
「でも、それなら1つまだ謎なことがあるよね」
蛍は、自分の顎を触りながら言った。
「私の剣を見ると言った時」
「店主さんは、こっちに来るんじゃなくて」
「魔法で自分のところに剣を転送してたよね」
「そっか、」
「じゃあ空間魔法?」
「でも、それなら私たちの魔法が分かったのに」
「説明がつかないよ」
「うーーん」
3人は、また振り出しに戻った気持ちになった。
「ほほ」
「お主ら中々に苦戦しておるな。」
その様子をずっと見ていた天の声は
面白がるように言った。
「当たり前じゃないですか」
「難しすぎますよ」
夢描は、弱音を吐いた。
「そうか、」
「難しいのか」
「それなら、今回は特別に」
「もう1つヒントをやろう。」
「本当ですか!」
「それはな、」
「わしは、蛍のような者が作った」
「物体でしかさっきのようなことはできん」
「ん?」
「なんだ、分からんのか」
やれやれと呆れるような声をした。
「仕方ないの」
「例えばだな」
「お主らの周りにある」
「布の1部を除いた」
「普通の布はわしにも」
「操ることは出来ん」
「1部とは何ですか?」
「そうだな」
「詳しく言うと分かってしまうが」
「お主らが求めている布であれば」
「わしは操ることが出来るぞ」
これは、ますますこんがらがってしまったのではないか?
蛍と夢描は、迫りくる時間に焦りを覚え
まともに考えることが出来そうになかった。
だが、陽葵だけは違った。
「もう、そろそろ時間だな」
「ギブアップしても良いぞ?」
天の声は、最後の挑発だろうか。
2人が、ギブアップですといいかけた時
陽葵が、口を開いた。
「分かりました。」
「店主さんの魔法は」
「ーーーーです。」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




