142.作戦実行その4
ゴゴゴ、
司の頭の上で天井が崩れ今にも司を押しつぶすいきよいで降ってくる。
「落ちる!」
司は、どうすることも出来ずただ身構えていた。
その様子を見ていた6人は、焦る様子もなかった。
その代わりと言ってはなんだが
1人だけ、冷静な声で魔法を唱えた。
「岩魔法」
直人だ。
「岩塊構築」
4文字の漢字ということは中級魔法だろう。
そういえば、3年B組のほとんどが中級魔法を使えるようになった。
これも、鬼の形相で教えてくれた司のおかげか。
なんども、蓮が泣きながらご飯を食べていたのを思い出す。
そんなことを言っている場合じゃなかった。
直人が岩塊構築と唱えた瞬間。
しゅんっ
恋歌の悪魔歌声で、崩壊した天井の岩が直人の元へと飛んできた。
直人は岩を動いを変えたのだろうか?
「よし!」
「できるだけ分厚くだな」
直人は、ボソボソと言った。
直人は、魔法のイメージを掴むのが誰よりも苦手だから
魔法を使う時はいつも声に出してイメージを膨らませている。
「これを」
「いやぁ、」
だから、今もこうやってずっとブツブツと何かを言っている。
「こうすればいいんだな」
直人は何か分かったように集めた岩にそっと手を触れた。
触れられた岩は、自我を持ったかのようにひとりでに動い出した。
岩同士が手を取り合うように陽葵達の前に壁を作り出した。
「次は右」
「もう少しここにも」
直人は今までに見たことの無い真剣な顔をしていた。
「なんかさ、」
その様子を見ていた夢描が、言った。
「直人って」
「蓮と、性格似てるなって」
「ずっと思ってたんだけどさ」
「魔法のコントロールの得意不得意とか」
「癖とか」
「ここまで一緒にいたら」
「全然違うんだなって思ったんだよね」
「それ私も思ってたんだよね!」
りかも、夢描の意見に賛成した。
「2人ともうるさいし」
「司にだる絡みするし」
「ぶっちゃけ」
「たまに名前間違えそうになるんだよね」
「りか、たまにすごいこと言うよね」
陽葵は、少し引いた声をしていた。
「おい」
「お前ら聞こえてんぞ!」
直人は、怒りながら言った。
「しかも、俺は全然蓮と似てねぇよ!」
そう叫んだ。
グラッ
その瞬間組み立てていた岩が揺れた。
「ちょっ」
「直人集中」
「集中!」
言った本人であるりかに怒られる直人はあまりにも可哀想だった。
「ああ」
「もう!」
直人は、集中が切れかけているのか一気に岩を組み立てた。
ゴン!
最後の岩が組み終えた瞬間直人は、その場で寝転がってしまった。
「終わったぜ」
「よくやった直人!」
陽葵は、グッどポーズをしながら笑顔で言った。
「あれは?」
そんなことをずっと見ていた司はまたまた何が起こっているのか理解が追いつかなかった。
「司!」
「私たちを守るために」
「直人に岩で壁を作ってもらったし」
「できるだけ距離は遠のけた!」
「今、魔法を撃っても私たちに飛んでくることは」
「最低限に抑えられると思うよ!」
「大丈夫私がいる!」
最後のは本当に安心できるか?
と言いたくなったが、なかなかにいい雰囲気を醸し出していたから言えなかった。
「ありがとう!」
司が、そっと右手をズグーラの方へと向けた。
そして、司がすっと息を飲み込んで魔法を唱えようとした瞬間。
「風魔、」
「あっ!」
陽葵がいきなり大声を出し始めた。
「ど、どうした!」
司は、陽葵の身に何があったのかと心配したが
司には、壁しか見えなかった。
「ご、ごめん司」
「私は、大丈夫なんだけど」
「1つだけ伝え忘れてた!」
「攻撃は60°に撃て!」
「60°?」
「っ、」
「なるほど」
「さすがだよ」
「天龍」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




