141.作戦実行その3
司は、右手も魔力も回復した。
これで、中級魔法が使えるはずだが、
「でも、あいつらがいるからな」
司は、まだ6人のことを気にして魔法が使えなかった。
これでは、また魔法がなくなって永遠ループである。
「じゃあ」
「恋歌と、直人よろしくね!」
陽葵は、なぜか焦っていなかった。
それよりも、なぜか楽しそうまであった。
「いよいよ私たちの番ですわね!」
そして、恋歌も同じように楽しそうだった。
「俺も、いいとこ見せたかったんだよ」
直人も、意気込んでいた。
「司!」
「上気を付けてね!」
陽葵の叫ぶ声がしたが
「上?」
司は、その言葉の意味がわからなかった。
「陽葵」
「上って、」
なんの事?
と聞こうとしたのだろうがそれよりも先に
恋歌が、魔法を唱え始めた。
「歌魔法」
「悪魔歌声」
聞くがギリに凄まじさを感じさせる魔法を唱えた。
それだけでは終わらず
歌魔法にはもうひとつ不思議なことがある。
恋歌は、唱え終わった後に一息吸った。
「すぅ」
そして、恋歌が再び声を発する時には
美しい歌声へと変わっていた。
「らーらーらーー」
その歌声は悪魔と付いているのが不思議なほど
まるで、天使がワルツをしているような歌声だった。
その場にいる誰もが恋歌の歌の虜になったのだ。
だが、すぐにその魔法が悪魔と言われる理由が分かった。
―ぐらっ
地面が揺れ、視界がぶれる。
その揺れは、まるで恋歌の歌に指揮を振るように右へ左へ揺れる。
「おぉ、」
司も、まさかの揺れに驚いていた。
これでは、上に気をつけてよりも足元に気をつけてではないか?
そう思った時だった。
―ピキピキ
確実に司の頭上の天井から音がした。
それも、嫌な音
落ちてくる音
「らーらーらん」
恋歌は、そんなことお構い無しに歌を続ける。
周りの陽葵達もこの状況を止めようとしない。
このままでは司が岩の下敷きになるのは分かりきっているのに。
もしかして、司を囮にして逃げようとしているのか?
そんな嫌な妄想をしたが
それは、一瞬で間違いだと気付かされた。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




