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137.勇者様でも...

「でも!」


陽葵が、司の肩を掴もうとしたが間に合わず


司は、魔獣の側へとかけて行った。


「司!」

「俺たちは何をしたらいい?」


直人が自分たちにできることはないか司に聞いた。


「そこでじっとしてろ!」

「それが1番俺が動きやすい。」


私たちが戦えると思えない。

それなら、じっとしていた方が司は守らずに済むのだろう。


「くそっ、」

「俺たちにはなんにもできねぇのかよ」


怒るように言った。


直人は、きっと頭で分かっているのだろう。

だから、その怒りはきっと司ではなく自分自身に向けたものだ。


「私もだよ」

「私もあの時みたいに魔法を自由に使えたら」

「司に守られることもなかった。」

「今、一緒に戦えたかもしれない。」

「せっかく使えるようになったのに」


陽葵も、悔しそうに言った。


「私だって、」


夢描も、俯きながら何かを言おうとした時。


「そんなこと考えている暇がございましたら」

「司の邪魔にならないところでお手伝いを知る方がよろしいのではないですか?」


恋歌が、入ってきた。


「ちょっ」

「私にも言わせてよぉ」


夢描は、拍子抜けしたような顔で言った。


「あら失礼したわ」

「私夢中になってしまったわ」

「どうぞ!」

「今度はしっかりと聞きますわよ!」


こんな状況でも恋歌は、恋歌だなぁと感心してしまう。


「もう、いいよ」


夢描は、諦めた表情をした。


「司の邪魔にならないように手伝うには何をすればいいんだろう。」


「ていうか、司のことだから圧勝なんじゃ?」


──────

「風魔法」

「凍封」


司は、低級魔法を唱えた。


司の足元からズグーラの体へと氷が伸びた。


一瞬の隙にその氷はズグーラの全身へとまとわりつき


ズグーラの動きを強制的に止めた。


『勝った!』


そう、心の中で叫んだ。


あとは、中級魔法や上級魔法を撃てば確実にしてめられるだろう。


「あれ?」


だが、司は凍封をしたきり

次の魔法を唱えようとしない。


「どうしたんだ?」

「忘れたのか?」


そんなわけがあるはずない。


「やっぱり」


陽葵が、何かを知っていたかのように言った。


「やっぱりってなんだよ」


直人が質問をした。


「司、さっきのズグーラの攻撃で」

「右腕の骨を折ってる。」


「えっ?」


そんなこと気づかなかった。

でも、確かによく見ると左腕に比べて右腕は上がりきれていない。


だから、左手で凍封を出してしまっているから他の魔法が使えないのか。


「それだけじゃないよ」

「きっと、魔力もそんなに残ってないのかも」


陽葵が、司の方をじっくりと見ながら言った。


「そんな、司に限ってそんなことがあるの?」


流星が驚きながら言った。


「たしかに、司は私たちの為に雷灯を使い続けていたから」


りかの言う通りだ。

この何十分間司はずっと魔法を使い続けていた。


魔力量が、多い司でもきつかったと思う。


「それなら、言えばよかったのに」


「司がそんなこと言えると思う?」


「それもそうだな。」


司の性格だ。

たとえどんなに自分が苦しくても言い出さないだろうな。


その結果として陽葵が言うまで気づかなかった。


「でも、司が魔力を切れるまで雷灯を使い続けるとは思えないよ?」


夢描が正論を言った。


「そう、」

「夢描の意見が私も正しいと思う。」

「だから、司は中級魔法を使えるぐらいの魔力を残してるはずだよ」


「じゃあなんで」

「司は使おうとしないんだよ?」


早く使わないと貯めている魔力も凍封に吸われていく。


「...」


陽葵は、司が何を考えているのか考えていた。


「っ!」

「そっか!」


「分かったのか?」


「うん、」

「司は、きっと一発でズグーラを倒す気だよね」


「それしか魔力が残っていないからね」


「なら、小さい魔法を出すより」

「大きな魔法を出した方が」

「ズグーラに当たる確率は上がるよ!」

「でも、司はそれが出来ないんだよ」


「なんで?」


片腕が使えないからか?

それとも、もう魔力が残っていないから?


その答えはどれも違った。


「ここがあまりにも狭すぎるからだよ。」

ここまで読んでくださってありがとうございます。

投稿時間が遅くなってしまってすいません。

次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。

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