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136.入口は一つだけ?

『ドンッドンッ』


魔獣が近づいてきている。

司が倒してくれると分かっていても鼓動は早くなってしまう。


『ドンッ、ドンッ』


リズムが変わった。


そして、音も近い。


司は、いつでも戦えるように構えた。


この空間に1つしかない入口に向かって。


『ドンドンドン』


―来る!!


司は、1番得意な風魔法を唱えた。


「...」


だが、一向に魔獣の姿が見えない。


司の魔法で作られた雷灯で明るいからよくわかる。

入口から見えるはずの魔獣の影も見えない。


音からして図体はでかいはず

少し離れていても影だけでも見えるはずでは......?


「何かおかしい」


司がそう呟いた。

その言葉でみんなの不安は一気に高まった。


一体この音はどこから聞こえる?


それに、さっきまでしていたドンッという音もいつの間にか聞こえない。


パラッ、


陽葵の後ろの壁から石のかすが落ちた。

だが、些細なことすぎて陽葵は気づいていなかった。


いや、陽葵だけじゃないここにいるほとんどが

魔獣が入口から来ると思ってそこばかりを気にしていた。


その瞬間


『ミシッ...』


その鈍い音と共に地面が揺れ始めた。


「今度こそ来る」


司は、もう一度風魔法を唱えた。



みんなは、気づいていなかったのだ。

いくら待っても魔獣が来ない

入(・)口(・)か(・)ら(・)は(・)


ガンッ!!


「ぎゅぁ゛ぁ゛ぁ゛」


壁が崩れる音がした。

それと同時に耳を塞ぎたくなるような叫び声がこの空間に響いた。


みんなの前からではなく


―後ろから


「えっ?」


陽葵は、後ろを振り向こうとした瞬間


陽葵の体を覆うように暗くなった。


魔獣が手を伸ばし陽葵は投げ飛ばそうとしていたのだ。


その間は数秒だった。


もちろん、陽葵はそんな間で逃げられる訳もなく。

目を強くつぶることしか出来なかった。


ヒュッ


風を切る音だけがよく聞こえた。


「陽葵!!」


ほとんどは名前を呼ぶしか出来なかった。


ただ一人を除き。


バンッ


ードンッ


魔獣の攻撃で何か物体が当たる音がした。

そして、その物体が行き良いよく壁にぶつかる音も

そのせいで当たりが霧のように見えずらなくなってしまった。


『陽葵!』


そう、みんなが叫びそうになった時


「司!」


そう叫ぶ陽葵の声が聞こえた。


私たちは、頭でもおかしくなったのか?


司は、魔獣が入口から入ってくると予想して

入口の1番近くにいるはずだから

今は、1番後ろにいるはず

あの一瞬でそんな距離を移動できるとも思えない。


大体、飛ばされたのは陽葵のはずたから声が聞こえるはずないだろ?


そんなことを考えていた。


辺りが少しずつ見え始めたとき

何故か、陽葵は私たちの

目(・)の(・)前(・)に(・)い(・)|た

《・》。(・)


そして、傷も見当たらない。


「りか!」

「早く治癒魔法お願い!」


陽葵は、焦りながらりかに言った。


「なんで?」


陽葵は、怪我もしていないのだから必要ないだろ?


そんな疑問が浮かんだが


すぐにその疑問は解かれた。


「つ、司が」


なんで、司がここで出てくる?

と言いそうになったが


陽葵は、ずっと

私たちでも、魔獣でもないその間に目線を向けている。


なんとなく、その目線をおった。


その時何が起こったのか理解した。


「うっ、う、」


壁に倒れ血に染った司がいた。


司の周りの壁はぶつかった勢いで凹みが生まれていた。


「司!」


りかは、司の元へと駆け寄り治癒魔法を始めた。


「なんで、司があんな所で血を流してんだよ」


直人が、言った。


「司、私を守るために」

「あの魔獣の攻撃をわざと受けてた。」


そんなことができるのか?

確かに、司は強いが早く動くことなんて見たことがなかった。


まだ、本気じゃなかったということか。


「あの魔獣って一体」


夢描は、魔獣を見ながら言った。


魔獣は、予想通り巨大な図体をしていて

大人の男4人分は余裕であるだろう。


見た目は、目が小さく

前足が異様にでかい。


元いた世界ではモグラに近い姿をしていた。


「あれは、ズグーラ」

「なるほど、だからここの鉄鉱石はあんなに上質だったんだ」


「どういうこと?」


「後で説明するよ」


今は、呑気に説明している場合じゃないな。


「...ズグーラ」


陽葵は、流星の話を聞いて何かを思い出そうとしていた。


「ズグーラって」

「A級魔獣じゃなかった?」


その言葉を聞いて背筋が凍った。


そして、敗北を覚悟した。


「ああ、その通りだよ」


「司!!」


司が、右足を引きずりながら歩いてきた。


「まだ、傷治ってないんだからダメだよ」


その後を急いで走ってきたりかが、戻るように言ったが


「もう、大丈夫だ。」

「お前らといたせいで感覚が鈍った。」

「どこから敵が来るか分からなかったなんて」


司は、悔しそうに言った。


「司、そんな体で戦ったらダメだよ」

「りかに治してもらって!」

「それに、なんで私を庇ったの?」

「私は、別に大丈夫なのに」


陽葵は、珍しく強い口調で言った。


「その間は誰がこいつを引き止めるんだ?」

「敵がどこから来るか分からなかったのは」

「俺のせいだ」


それに、反論するように言った。


「なら、私が戦う!」

「だから、もう無理するのはやめて」


「はは、」

「今は、魔法使えないんだぞ?」

「大丈夫、俺が守る」

ここまで読んでくださってありがとうございます。

次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。

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