109.変わらぬ笑い。
「じゃあ、私たちの秘密の部屋に行きますか!」
「秘密の部屋?」
陽葵たちは、花の家族と別れて地下へと帰ろうとしていた。
「私たちのお家です。」
空は、一の質問に答えた。
「絶対にバレないところなんですよ」
花の顔がニヤニヤしていた。
その顔は、まるで悪ガキのようだった。
「君たちは、俺が想像しているより」
「不思議な子供だな。」
「異世界人に勇者様」
「それに、絶対に見つからない秘密の部屋だってぇ」
「生まれて初めての体験をしてるよ。」
喜んでくれて何よりだ。
──────
「陽葵、」
司は、みんなの後ろに陽葵を呼んだ。
「どうしたの?」
「本当にあの男を信じてもいいのか?」
「俺たちの情報を出しすぎじゃないか?」
「俺たちは、あいつらのことよくわかってないんだぞ」
司の顔つきが真剣だった。
確かに、情報を上げすぎたかもしれない。
「でもさ、司のことは」
「これから先協力するならバレるだろうし」
「そこでバレたら説明が難しくなるでしょ?」
「確かにそうだが」
「それに、作戦を立てるのに」
「地上で話したら」
「色々と面倒くさそうじゃん」
「私たちが、転生してきたってことがバレたのは想定外だけどね」
花がポロッと言ってしまったからな。
「だけどなぁ」
司は、勇者だから人を信じすぎるとどんなことが起きるのか。
今まで痛いほど経験してきたから心配なのかもしれない。
「大丈夫」
陽葵は、そんな司を見て言った。
「それに、一さんにも」
「言ってないことがあるし」
「そうだな」
「何かあったら」
「よろしくね」
陽葵は、いつものように笑顔を見せた。
司は、その笑顔に引っ張られるようにクスッと笑った。
「わかったよ」
「あぁ!」
「陽葵と司がまた二人でコソコソ話してるよぉ」
「別になんでもないですよぉ」
この1年の中でたくさんのことがあった。
何度も命の危機を感じたけれど
その最後には必ず笑顔があった。
今となっては、仲間も増えた。
「じゃっ!」
「帰りますかぁ。」
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回も、少しだけこの世界に付き合ってもらえたら嬉しいです。




